168.2007年10月29日(月) 疑念が消えない証人喚問

 今日午後国会で守屋武昌・前防衛省事務次官に対する証人喚問があった。一昨年の姉歯建築士構造計算書偽装事件、古くは1976年のロッキード事件が印象に残っている。2時間余に亘りTV画面を観ていたが、野次馬的な見方からすれば面白いが、質問からは確たる言質を引き出せなかった。これは、守屋氏が弁舌逞しいというわけではなく、格別シャープということでもない。ごまかしながら言い逃れをしているだけで、肝心な点について追求して、もう一声というところで追い詰められない質問者の詰めの悪さもある。

 守屋氏への疑念に対する質問は、大きく分けて3点に絞られると思う。①接待は受けたか。②商社への口利きをしたり、指定業者への随意契約をほのめかしたのか。③海自補給艦の給油量を巡る隠蔽に関与があったのか。①は簡単に認めた。②と③については、受託収賄や、贈収賄のような刑事事件に引っかかりそうなので、何となく逃げ切ったという感じで、後にやりきれなさだけが残った。政治家が会合に同席したことまで、証言しながら名前を明かさなかったことなどから、もう一度証人喚問の必要があると感じた。

 守屋氏は印象では、大物とか能吏という雰囲気はない。あの程度の人物が次官にまで上り詰めることが出来るということは、結局防衛省内に人材がいないということだ。最近の民間会社の、特に食品会社の不祥事が創業者一族において発生するのは、詰まるところ世襲であるが故に、人材不足に陥った結果だといえる。その点では、防衛省は世襲会社的体質を有しているということになる。こんなところに国家の機密や、安全、治安を任せて大丈夫だろうか。

 それにしても、ロッキード事件の証人喚問の際の、小佐野賢治の人を食った答弁ぶりが、ことの是非は別にしてもいやに大物に写るから、やはり人間のスケールが違うのだろう。いずれにせよ、今日の証人喚問の場におけるやりとりは、今のままでは不毛の議論で、国民にとっては何のメリットもない。実際憂鬱になるだけだ。

2007年10月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com