今日文化の日は、69回目の誕生日である。この先あと10年生きられるだろうか。これまで通り自由気ままに好きなことをやっていきたい。このブログを毎日書き込むのも少々きついと思うことはあるが、これも精一杯生きていることの証でもある。
今日は小中陽太郎さんからお誘いをうけ、栃木県那須烏山市で素晴しい洞窟コンサートを鑑賞してきた。会場は、戦時中防空壕として使用された洞窟を、「東力士」という銘酒を醸造している地元の島崎酒造会社が借り受け、普段は醸造酒の貯蔵倉庫として使用している。その一隅で「光と音楽とお酒のコラボレーション」を謳い、幻想的なイベントを催したわけである。洞窟入り口前で、おにぎりと豚汁、多種のお酒をご馳走になってから開演となった。舞台は洞窟入り口から真っ直ぐに進むと右足元床面に、地元の和紙照明作家・鎌田泰二氏の芸術的な作品が点々と置いてある。途中二箇所ほど横坑を交差すると左右は酒壜の保管庫になっている。突き当たりを右折した場所がコンサートホールに使われていた。細長のホールで天井もそれほど高くなく、音響が逃げない。適度なエコーもあって心地よい。
先日テレビでもこの洞窟を報道していたが、聞けば近日公開の映画でもロケに使われたとか。
出演は加藤登紀子の娘のYAEさんとフォルクローレ・ギタリストの木下尊惇さんで、YAEさんは伸びのある声で洞窟一杯に歌われた。木下さんはチャランゴというアルマジロの皮を貼った、ボリビアの民族楽器を演奏してくれた。2人ともこのような洞窟で歌うのは初めてで、とても印象に残り、多分今日のコンサートは一生忘れないだろうと言っていた。
今から9年前、ショパン所縁のスペインのマヨルカ島の鍾乳洞の中にいた。そこの広場のような場所でコバルトブルーに映える神秘的な湖上をボートに乗った楽士、多分バイオリンとチェロだったと思うが、ショパンの名曲を奏でてくれた情景を思い出した。あれは心の奥に残る、海外旅行の印象的なシーンだったが、スケールにおいて彼我の差はあるにせよ、似たような雰囲気が幻想的に醸し出されていた。
主催者の島崎利雄社長に伺ったら、聴衆は約170名、収支はトントンとのことだった。
帰りに社長ご夫妻の案内で、醸造元を訪れお話を伺いながら年代物の試飲をさせていただいて、みんなほろ酔い機嫌で、そのままJR烏山駅から上野経由浅草へ出て、小中さんお薦めの釜飯屋さんへ寄り、美味しい釜飯をご馳走になって帰宅した。小中さんご夫妻、日経の西山貢さんご夫妻、建築家の勝野定典さんと一緒に珍しい音楽とお酒をともども味わえて格別だった。文化の日らしい好天にも恵まれ、ローカル線で日本の田園風景を眺め、エンターテイメントも心から楽しむことが出来て、感銘深い誕生日となった。