一昨日の留守中に江戸川区松江の「大久保正」氏から封書が届いていた。住所と名前に思い当たる節がなかったが開けてみたら、先日元全学連書記長・清水丈夫さん著作の入手方法を、発行元・前進社へメールで問い合わせた質問に対する回答で、すでに別便で著作を送ったとの連絡だった。
公安当局がマークしている清水さんや、中核派、前進社らに連絡をつけるということが、実は尋常ではなく、接触することはかなり難しいということを改めて知らされた。「大久保正」は偽名のようだし、住所は前進社所在地である。公安は清水さんが議長を務めている革命的共産主義同盟(略称「革共同」)を「左翼暴力集団」と断定し、注意深く監視しているらしいからだ。
そういう状況下で、外部との接触には彼らも人一倍気を遣っているようで、私に対しても配慮らしき点が窺える。送金は現金書留で名前、住所ともに仮名でよいとの添え書きがしてあった。昨日この書状をゼミの友人に見せたところ、元毎日新聞編集委員氏は、それは「大久保正」の私への配慮かもしれないと言っていた。
今日希望していた清水さんの選集第5巻が郵送されてきた。「米帝の歴史的没落と闘いの任務」とかなり戦闘的なテーマで、1970年代中期に週刊「前進」に発表した6編の論文に、9・11テロ直後に、テロの正当性を訴え、読者に決起を促す150頁の序文を付け加えたものである。本文は、核マル派に対する政治・軍事論文と、カーター政権のアメリカ帝国主義の階級的本質とその政策の解明のための論文から成っていると説明されていた。
清水さんも相変わらず威勢がいい。いずれは世界革命を目指すというのだから、強固な信念はいささかも揺るぎなく、半世紀前と変わっていない。青木昌彦スタンフォード大名誉教授などと違って、まったく足場がぶれていない。しかし、暴力を肯定したり、失礼ながら世界革命などと事大主義的な目標を掲げたり、世間だって私自身にしたってとてもついていけそうもない。これからじっくり時間をかけて、550頁を超える論文を読んで、清水先輩の本心を読み取るのも楽しみではある。しかし、本文には厳しい言葉が溢れているが、文章が優しく書かれているのは清水さんらしいところであろうか。私と考えは一緒になることはまずないと思うが、まずは第5巻を味わい、その後に他の選集を通して少しずつ清水理論を読み解いていきたい。