今日「文化の日」は77歳の誕生日である。来し方を振り返れば、77年の歳月に万感の思いが湧き上って来る。この日は日本憲法が公布されてから69年目でもある。この間公私ともにさまざまなことがあった。
節目として大きな影響を受けたのは、何と言っても太平洋戦争であり、60年安保闘争だった。更に言えば、個人的には入社5年にして、今から思えば無謀にも会社へ辞表を提出して当時のチェコスロバキアへの留学を実行しようとしたことである。だが、生憎1968年突如勃発した「プラハの春」の煽りを受け、チェコ行きの志を通すことが難しくなり、初志貫徹することは出来なくなった。あれがひとつの転機となった。
その後は旅行エージェントとして自分なりのやり方で、新しい企画を作り多くのお客様に助けていただいて旅行業を自分の終生の仕事と考えるようになって行った。プライベートでも自由に好きなことをやった。その間家庭的にも伴侶を得て2人の子どもに恵まれ、幸せな家庭を築くことが出来た。
77年を今振り返って悔いることはない。自分に合った旅行業という仕事に従事して思い切りやり遂げることが出来たと思っている。紆余曲折を重ねたが、思い残すようなことはない。高校でラグビーを、大学では登山を思い切ってやって学問以外にも学園生活を楽しんだ。大学ゼミナールでは良き師に恵まれ学友と充実した気持ちで学ぶことが出来た。他にも多数の素晴らしい友人に恵まれた。
その意味では幸せな77年だったと言うことが出来る。今の著述業はおまけの人生で自由気ままに活動しているが、あまり自分勝手な我儘も出来ないし、そろそろ終活の準備に手を染める時期に来ているかなと思っている。今後は健康状態を入念にチェックしていくことが最も大切だと考えている。
さて、今日は所属する認定NPO法人「江戸城天守を再建する会」の江戸城天守再建に関する復元調査の報告会が、神保町の学士会館で開かれた。当初から復元の青写真を作成している三浦正幸・広島大学大学院教授の報告と、東京をもっと魅力的な都市へと訴える伊藤滋・早稲田大学特命教授の特別講演、更に神保町にある共立女子大生による神保町活性化デザイン計画のプレゼンテーションが行われた。
個人会員の数が4500人まで増えて少しずつ江戸城天守再建への関心と希望が高まっているが、前途は決して楽観出来るものではない。77歳の我々が生きている間に天守再建が実現出来るかどうかという次元の話になる。ひょっとすると難しいかも知れないと考えると少々寂しい気持ちになる。
今日三浦教授の講演の中で、改めて知ったことは、江戸城は徳川家康が築城したものであるが、防御用というより美的感覚が強く世の中にもう戦いがないという自信があったからだろうということと、城の形があらゆる点でどこから見ても美しいということである。
一日も早く江戸城天守閣の美しい英姿を見てみたいものである。