このところ内外ともに世界的な大企業の不正が後を絶たない。東芝の不正会計、欠陥エアバッグの自動車部品大手メーカーのタカタ、免振ゴム不正使用の東洋ゴム工業等々が問題となってまだ間もないうちに、大手不動産業者の三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市内のマンションで建物が傾いたことが明らかになった。その影響が糸を引いているばかりでなく、被害が全国的に拡大している。結局販売元の同社だけではなく、重層構造になっている下請けの建築施工業者が手抜き工事を行っていたことが徐々に暴露されている。それらの工事を請け負った建設会社や工事会社が、発覚しないだろうと経費を削って法律で決められている通り工事を行わなかったことが原因である。儲けのためには、一見して目に付かない箇所で手抜きをやる悪質な行為を、大手企業がやっていた。一旦失った信用はそう簡単に取り戻すのは、並大抵のことではない。まだ、原因等を調査中ということでもあり、これからもこういう杜撰な建築工事によって建てられたマイホームが明らかになるだろう。
そして、今日原子力規制委員会が高速増殖炉「もんじゅ」について、運営主体の日本原子力開発機構に代わる運営主体を示すよう馳浩文科相に勧告した。恥ずかしいことに度重なる点検不備により、原子力規制委員会は原子力機構に「もんじゅ」の運転を任せるのは不適当とまで断罪したのである。この後どういう対応を取るのかは分からないが、今まで「もんじゅ」では、点検漏れの事故が頻発し、再三改善を促されていた。しかし、一向に改善される見込みがないと見透かされたのである。
こんな重大なことが一向に修正されないとは、ことは技術以前の問題であり、モラルに問題があることは間違いないと思う。東芝然り、三井不動産しかりで、民間大手企業のスキャンダルと歩調を合わせるかの如く、国の事業でも同じように次元の低い事象が発生している。
これでは、政府が原発再稼働に当り、いくら世界で最も安全だと吹聴しても原発の検査自体がどこまで信用出来るのか分からない。こういう路線の上で、危険をはらむ原発の再稼働が続々とスタート台に立とうとしている。
大企業の不祥事は、国内だけに留まらず海外企業でも起きている。先月ドイツのフォルクスワーゲン(VW)社は、ディーゼル車の排気ガス規制で不正を犯した信用失墜により販売高を急速に落としているが、今日新たなVW社の不正が明らかになった。販売前の型式認証手続きというのがあるそうだが、VWでは二酸化炭素(CO2)の排出量の数値が実際より低くなるよう不正を働いたという。VWの場合、これまでディーゼル車の不正のみと見られていたが、わが家の車「POLO」やアウディまで、その対象は広がるほどの全社的な不正事件である。
どうしてこのようなモラルを問われる事件が連続的に起きるのだろうか。メーカーには自助作用が働かない社内構造になっているのだろうか。VW社の不正も許せないが、真面目な技術大国と言われた日本の製造業も好い加減なものだと言われないよう反省して欲しいものである。