209.2007年12月9日(日) 中国政府の非常識と呆れた自己都合

 チベットへ旅行中に北京で日中経済対話が開かれていたということを知った。日本からは6人の閣僚、中国側から副首相と7人の閣僚が出席した。2日に日本側代表団が温家宝首相と会見した時、温首相が対話は成功だったとその成果を評価し、日本の高村外相も成功だったと強調していた。

 然るにこの対話でまとめられたプレスコミュニケの文面を中国側が一方的に書き換えて公表した。合意文書、しかも国家間で交わされた公式文書を、相手国の了解を得ずに自分の都合だけで変えてしまうとは、いかにもいま偽ブランドを売り物にしている中国らしいやり方である。こんな外交儀礼に反することはこれまで聞いたことがない。早速日本側が抗議し、訂正を求めているらしい。中国が一方的に変更した箇所は、①中国政府が人民元の為替レートの上昇に向けて努力することを日本側が期待したことと、②エネルギー憲章条約への中国の参加の意義を日本が指摘した点である。いずれも中国にとっては触れられたくない箇所である。すでに新華社通信は変更された内容を伝え、人民日報や商務省のウェブサイトにも掲載された。どうも対話では一応合意したが、中国とすればあまり他所から指摘されたくない項目で、これをきっかけに欧米諸国から現在の中国の対応に対して、一気に問題が拡大化される点を懸念している節が見られる。

 それにしても、最近のロシアにしても中国にしても、マイペースでことを運び、自分たちにとって都合が悪くなると強引に約束違反とか、契約破棄とかをやってのけるパフォーマンスにはあきれ果てる。社会通念や外交常識から考えて、まったく理解に苦しむ行動であり、日本政府が抗議したのも当然といえる。しかし、これからもこういう奇想天外な手段を二の手三の手と繰り出してくるであろう中国と渡り合っていくのは、相当な覚悟と相手を上回る戦術を駆使出来る腹芸と交渉力が必要で、果たして世襲議員ばかりで、地力のない日本の政治家にそれが務まるかどうか、いささか悲観的にならざるを得ない。

2007年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com