3101.2015年11月9日(月) ビルマの分かり難い総選挙結果

 昨日行われたビルマ(現ミヤンマー)の総選挙の結果がビルマらしくすっきり公表されない。大凡の結果はメディアで分かっているようだが、正式には2~3週間ぐらいかかるというから実にビルマらしい。

 2010年の総選挙では、民主化運動の旗振りを務めていたアウン・サン・スー・チーさんが党首を務めていた国民民主連盟(NLD)がボイコットしたせいで、軍部の流れをくむ与党の連邦団結発展党(USDP)が8割の議席を握った。今回の選挙は、各国がその結果を注目している。今夕時点では、与野党ともにNLDが多数の議席を獲得したと発表している。だが、正式な発表はまだである。戦前予想されたNLDの優勢にも拘わらず、民主化を目指すスー・チーさんが目指す勝利とアメリカを始めとする各国の希望は予断を許さない。その最大の原因は、上下両院の664議席のうち、1/4議席が軍人議席だからで、議会全体で野党が2/3議席以上を獲得しない以上全議会の過半数を獲得したことにならないという理不尽な制度のためである。そして一番恐れることは、例えNLDが勝っても、軍部がルール破りをやって1990年時と同じように敗者が勝者に成り替わることである。

 かつて軍政時代の1990年に行われた総選挙では、NLDが議席の8割を押さえて圧勝したが、軍は選挙結果を黙殺し、政権委譲を拒否した。しかも、NLDの指導者スー・チーさんを以後15年間に亘って自宅軟禁するほどの狼藉を行ったのである。それでもビルマ国民は独立の父アウン・サン将軍の娘であるスー・チーさんを支持し、彼女も挫けることなく今日の総選挙へ辿りついた。

 果たしてビルマの選挙の結果とその後の政治はどうなるのか。明日になればもう少しはっきりするのではないだろうか。

 だが、今は総選挙で政権を取る話が先行しているが、実際そうなった時にしっかりした政権構想がスー・チーさんらのNLD側にあるのだろうか、その点がちょっと気になる。

2015年11月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com