昨日国内外で不法なスキャンダルが明らかになった。
ひとつは、ロシア陸上界における国ぐるみのドーピング違反事件である。選手のみならず、コーチ、医師、ロシア政府情報機関職員まで不正に関与していたとされ、これを糾弾した世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシアには勝利のためには手段を選ばないだまし文化があるとして厳しく非難した。2001~12年の陸上世界選手権とオリンピック長距離種目の全金メダルの1/3に当る146選手にドーピングの疑いがあるとも報じられている。WADAは国際陸連に疑惑が解明されないうちは、ロシア選手の国際大会参加は認めるべきではないと勧告した。このままだと来年のリオ・オリンピックにロシア選手が参加出来ないことになりかねない。スポーツ選手までが、社会主義体制下で国家管理下にあり、当時当たり前だった命令服従の悪行が今も闇の中で生き続けていたということだろうか。
一日も早い疑惑の解明が望まれる。
一方、もうひとつ眉を潜めるような事件が日本でも起きていた。何とプロ野球・読売巨人軍の3人の投手が野球賭博をやっていた事件で、巨人軍は3人の契約を解除し、コミッショナーは彼らを無期失格処分とする採決を下した。1969年当時西鉄ライオンズの池永投手が自ら八百長野球をやって球界から永久追放処分を下された「黒い霧」事件以来の不祥事である。勿論本人に最大の責任があるが、巨人軍内では賭け麻雀や、賭けトランプが常態化されていたことを考えると、若い選手を多数預かっている立場から巨人軍にもその指導、管理に大きな責任がありそうだ。
賭博が明らかになったのが、スポーツの中でも人気のあるプロ野球であることから、各スポーツ界に与える影響も無視出来ない。巨人軍の3選手をトカゲのしっぽ切りにするのではなく、将来のプロ野球界の健全な発展のためにも選手たちに対して基本的な人間教育を徹底させないと、2度あることは3度あるということになりかねない。
それら内外の不祥事の中で、今日すっきりしたニュースは、国産初のジェット旅客機MRJが初飛行を果たしたことである。「YS11」以来実に半世紀ぶりのことである。「YS11」は海外での販売で壁に突き当たって撤退した。今この小型ジェット機は、カナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社の寡占状態にあり、日本の技術力により燃費が2割方経済的というメリットを以ってすれば、戦略次第で世界の航空機市場へ充分打って出られるのではないだろうか。航空機産業はこれまで日本にはなかっただけに、産業界としても大きな期待を持てる。頑張って欲しいものである。