安倍第3次改造内閣に河野太郎氏が入閣し、行政改革担当大臣になったことは、私ならずもかなりの人が首を傾げたに違いない。河野氏は大衆向けの発信力が強かったお陰もあるが、何よりも自民党内にあって近年原発再稼働に反対してきたことが存在感を高めていたので意外と受け止められている。それが、再稼働を推進する安倍内閣で入閣したから心ある人は眉を顰め、大臣になりたいがための河野氏の変節に疑問を抱いた。そこへ今日あるTV番組でコメンテーターが河野氏にインタビューして、昨日行政事業のレビューが行われたことと併せ、原発再稼働に関する疑問について本音を探ろうとした。
河野氏のパフォーマンスについて疑問を感じつつも質問に遠慮が過ぎたせいもあり、河野氏の本音がどこにあるのか追及しきれなかったが、内閣の一員としては職責を全うすることだと述べた。では、内閣にいて原発反対を主唱しないのかとの質問には言い訳がましい答弁しか聞かれなかった。そのうえで停滞している原子力政策について機能していない施設について無駄がないかどうかの検証をする必要があると述べたに留まった。結局誰もが大臣になりたのだ。大臣にさえなれれば、例え長年貫いてきた主義主張が異なろうとも、それは一時的に棚上げすれば良いとでも考えているのだろうか。これだから政治家というのは信用出来ない。
さて、原発政策では使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルが行き詰まり深刻な状態になっている。核燃料は今まで3つの方法で進めて来た。だが、その1つでは、高レベル放射能廃棄物最終処分場は見通しが立たず中止となった。残る1つも躓いている。先日原子力規制委員会から原子力機関のオペレーションに信頼が持てないと言われた高速増殖炉「もんじゅ」が宙に浮いたままである。「もんじゅ」には、これまで巨額の投資をして、まったく成果が出ない。今でも年間200億円を消費して、起動しない施設はまったく無用の長物化している。併せて核燃料運搬用に導入した内航船がこれまで4度しか運航されただけで、船員13人に高給(月給123万円)を支払ってプルサーマル発電方式が継続されようとしている。
こんなはっきりした無駄の産物なら、原発反対の河野大臣にとっては簡単にカットし易いターゲットだと思うが、一旦政権に取り込まれた河野大臣には、思い切って大ナタを振るえない。口先だけ達者な奴は本当に信用ならない。
ところで、日曜日行われたビルマ総選挙で、アウン・サン・スー・チー党首率いる国民民主連盟(NLD)が国会議員全議席の過半数を獲得することが確実となった。これに対してティン・セイン大統領は、平和的に政権を委譲するとの声明を発表した。1990年総選挙直後の軍部による権力掌握で、民主化弾圧を行ったような無法行為にはならないようだ。まずはほっとしている。