スポーツキャスターであり、高校と大学の先輩でもある佐々木信也さんに、以前NPO法人「JAPAN NOW観光情報協会」の月例観光セミナーで講師をお願いしたところ、快くお引き受けいただいた。テーマは佐々木さんの提案で「成功する監督のリーダーシップ」というものだった。昨年11月拙著出版記念会でスピーチをお願いした折にも拙著ストーリーのさわりを軽妙に話していただいた。今日の講演でもユーモアを交えながら甲子園高校野球初優勝、慶應時代のチームメート藤田元司投手のエピソード、プロ野球引退の裏話、「プロ野球ニュース」初期の印象、話し方のコツ等々について多岐に亘り飽きさせないトークをしていただいた。
講演前に雑談していて最近の巨人軍投手の賭博事件を厳しく批判され、巨人軍がその土壌となった合宿所の賭けマージャン等を厳しく監視していれば、今回の賭博事件のようなことは防げたのではないかと残念がっておられた。質問も交え大変楽しく有益な講演会となった。長年キャスターを務められただけに、強調された間の取り方を上手に実演した話術は流石と感じさせられた。機会があれば、またお願いしたいと思っている。
さて、昨日に続き、また原発の話題である。フィンランドは、原子力発電所から排出される「核のゴミ」の最終処分場を同国オルキルオト島に建設することを認可すると発表した。世界最初の最終処分場建設である。来年中に着工し、2023年に完成する予定だという。すでにトンネルが掘られて「オンカロ」と呼ばれる試験施設が作られ、2~3年前に観た記録映画によると随分都市部から離れた深い場所に安全装置を取り付け多額の資金を注ぎ込んだ施設という印象である。
漸くゴミ処分への道が僅かながら進んだというところである。正式に処分場として建設され、核のゴミの処分が始まるのである。このゴミは金属容器に密閉されて400~450mの地中深く埋葬され、生物にとって安全なレベルに下がるまで実に10万年の年月を要するという。今や毎年世界中で原発から排出される核のゴミの処分に手を焼いているのだ。わが国では各処分場の場所すら決めかねている。最終処分場はおろか、中間処理施設の建設場所を巡っても国と自治体の間で解決のメドが立っていない有様である。
フィンランドの施設が他の原発稼働国に理想的な道道しるべとなってくれるだろうか。フィンランドではゴミ処分の現実問題を深刻に捉えて早々と仮処分場を建設し、現在も世界中の多くの原発関係者が「オンコロ」を見学に訪れている。原発再稼働に反対を唱えている小泉純一郎元首相もこの施設を見学している。
昨日の本ブログにも書いたが、日本では中間処理施設の建設も思うに任せないまま、排出されるゴミを一時的に仮に埋めている状態だ。最終処分場までのゴールは極めて遠い。それにも拘わらず今年になって鹿児島川内原発で再稼働を始めた。ここから出る危険な核のゴミを処分するアイディアもない中で、見切り発車したのである。今後国内の再稼働へ舵を切る原発から新たなゴミが毎年続々と排出されることになる。そして、今後10万年間我々人類は危険に身を晒しながら生きて行くことになる。
どうしてこんな危険なゴミを排出することが分かっている原発を稼働させるのだろうか。「安全で安いエネルギー源」と言われた原発だが、今では「危険で高いエネルギー源」になってしまった。それでも問題の多い原発を続ける意図がどうしても理解出来ない。