衆議院選の1票の格差について、昨日最高裁判決が下された。昨年12月「0増5減」により修正された最大2.13倍の選挙区格差の下で行われた総選挙は、最高裁から違憲状態との判断が下された。これで、2009年、12年に次いで違憲状態とされたのは、3回連続である。もう待ったなしである。しかし、総選挙の結果は無効とまでは看做さず、今後格差解消へ向けた国会の努力を期待し、見守るということになった。
元々国会内では、現状制度を変更、改革するには利の絡む議員の反対が強い。いくら最高裁が下した判決であるにせよ、議席数を減らされる小選挙区選出議員にとっては死活問題であり、格差是正の議論が思うように進まない。今後最高裁判決を受けて、本気で違憲状態を是正へ向けて一歩踏み出すかどうかが問われている。現状ではそうなるかどうかあまり期待出来ないように思っている。
さて、突然の訃報である。女優として一世を風靡した原節子がすでに今年9月に亡くなっていたことが今日公に発表された。享年95歳である。早速各テレビ局が報道番組やバラエティ番組でその人となりを詳しく伝えていた。1962年の「忠臣蔵」出演を最後に半世紀以上も世間から姿を隠し、そのまま声明なき引退となり映画ファンから大いに惜しまれていた。鎌倉市内の親戚の家で外へ出ずにひっそりと生活していたと神秘性を帯びた話が後から後へと伝えられていた。そういう意味では謎の多い女性だった。出演した映画は、すべて高い評価を受け、評判を呼び銀幕の原節子は今なおオブラートに包まれたまま偶像視されている。伝説の女優と呼ばれる所以でもある。私自身原節子の映画は「東京物語」しか観ていないが、そのストーリーの嫁と姑のおもいやりと、原節子が現在の女優さんとは異なる上品さが今でも強く印象に残っている。
昨年9月に亡くなった同じ女優の山口淑子と同じ1920年生まれであることも不思議な縁である。お互いに際立った存在感を示し、戦前、戦後の日本映画界をリードした女優と呼んでも良いのではないか。機会があれば、佳作「晩春」や、「麦秋」「めし」「青い山脈」などを観てみたいと思っている。
ところで、今日11月26日は日本ペンクラブの誕生日「ペンの日」である。初代会長・島崎藤村の下に発足してちょうど80年になる。毎年この日の懇親会に参加していたので、今年も例年通り参加の意向を伝えていたが、今朝からどうも体調が勝れない。昨晩の懇親会の酔いが影響しているとは思えないが、取り敢えずペン事務局と親しい会員諸兄に欠席の連絡を取ったところである。