ここ数日与党の自民党と公明党幹事長が消費税の軽減税について執拗に話し合いを続けているが、お互いの主張を繰り返すばかりで、メディアもその中身を分かり難い図解で説明している有様である。どうも政治家の話というのは、雲を掴むようなところが多い。谷垣禎一・自民党幹事長が対象品目は食料品のうち生鮮食品のみで、予算枠も3400億円と言っていた。だが、対する井上義久・公明党幹事長は加工食品を含めて菓子類や飲料も加えることを主張している。そうなると減税該当額は1兆円近くに膨らむ。このまま自公の決戦となるかと思いきや、それが急転直下話がまとまるような雲行きになってきた。公明党の意向を取り入れる方向で調整するようである。だが、4000億円以内を主張していた自民党が、どんな膨らまし粉を入れたのか、その支出規模を2倍に膨らませることで公明党に歩み寄ったようだが、何がどうなったのか政治家以外にはよく分からない。
そこへ先日来アメリカやヨーロッパ諸国並みに下げるよう求められていた法人税率が、来年度税制大綱の中で下げられることが自民党税制調査会でほぼ了承されたようである。税率が現在の37%から29.97%にまで下げられることになる。この税率は、アメリカやフランスを下回るものである。そんなに一辺に無理して財源は大丈夫なのかと言いたい。前者の軽減税率対象品目の取り扱い次第では相当な税負担が生じる。そのうえこの法人税率の軽減によっても税収が減じるわけである。
気になるのは、こんな国家にとって大事なことが、党利党略で随分簡単に決められてしまうことである。どうもこの辺りの決め方の仕組みをきちんとしないと、手柄を立てたい利益誘導型の政治家によって国の財政が苦しくなったり、将来的に大きな負担を背負うようなことに成りかねない。
さて、昨晩作家の野坂昭如さんが心不全で亡くなられた。85歳だった。とにかくユニークな人だった。その活動範囲は広く、直木賞作家、タレント、歌手としても活躍され、一時参議院議員としても活動された。毀誉褒貶いろいろあるが、多くの人を敵に回しながらも正直でぶれずに我が道を往ったのは、立派なことだと思う。2003年に脳梗塞で倒れてからリハビリ生活を余儀なくされたが、執筆活動は続けていた。
死亡記事の中にラグビー好きだったことは報じられていないが、自分でチームを持ち目立ちたがり屋らしく、司令塔スタンドオフのポジションを務めた試合をテレビで観たことがある。小中陽太郎さんの兄貴分でもあっただけに、小中さんにとっても残念で寂しいことではないかと思う。