兄の高校時代の友人である国立極地研究所名誉教授・神沼克伊さんから、私の近著「南太平洋の剛腕投手」と同じ現代書館から10月に出版された高著「白い大陸への挑戦」について東京新聞から取材されたと伺っていた。それが今日の同紙朝刊・読書欄「書く人」に掲載されていた。東京新聞は購読していないので、取り急ぎ近所のコンビニで買ってきた。書評だと思いこんでいたところ、神沼さんが著書について記者からインタビューされ、地球物理学の専門家として執筆した意図や、60年間の日本南極観測史、これからの南極調査への希望などについて応えておられる。縦4段で写真入りのかなり大きなスペースを割いて紹介してくれている。これならかなりの宣伝効果があるのではないだろうか。
神沼さんが、南極における資源開発や領土が将来各国の奪い合いで競争になることを心配され、科学者全体に南極の富を守る姿勢を貫いて欲しいと言っておられる点で頷けるものがあった。
現実的に現在南シナ海で中国が南沙諸島を自国領土として一方的に埋め立て工事を進めたり、ロシアが北極海底にロシア国旗を立てて北極海をロシア領と主張したり、各国とも領土拡張意欲はえげつないほど貪欲である。神沼さんが心配されているように南極でどこの国も勝手に自国領土を主張したら、熱い戦争ならぬ冷たい戦争が勃発し、収拾がつかなくなる。来年が南極探検60年という節目を迎えるに当り、神沼さんの提言はけだし至言だと思う。早く各国でルールを決めるべきだと思う。
偶然ではないと思うが、この南極本の広告が他の書籍と一緒になって、出版社・現代書館によって今朝の朝日新聞一面最下段に掲載されていた。
書籍自体は、極めて専門的な書であるが、その割にエピソードや例え話が多く紹介され、肩の凝らない読み物だと思う。理系の書籍は中々ベストセラーとは行かないようだが、それに一歩でも近づいてくれれば著者ならずとも私も嬉しい。