昨日テレビ・ニュースがイエメンのアデンで州知事の車が爆破され、知事以下7人が死亡したと伝え、現場とアデンの光景を映していた。一瞬の映像では48年前にアデンを訪れた当時の様子はよく分からなかったが、やはりアデンには格別感銘深いものがある。
現在アデンは首都サヌアに代わってイエメンの暫定首都となっている。元々国民の間で宗教と民族の対立が激しく、近隣諸国の介入もあって治安がかなり悪いようだ。大統領もどこへ姿を隠してしまったのか分からない行方が分からない状態である。そのためテロリストの格好の隠れ場となり、最近では悪名高いテロリスト集団「IS」の巣窟ともなって、外務省のHPには危険度「レベル4」と警告され、イエメン全土に「退避してください。渡航は止めてください」との「退避勧告」が出されている。もう彼の地を訪れてから半世紀近くなるが、あの頃独立闘争が民族間の内戦となり激しく戦った残骸があったが、独立を経て今度は別の角度から、却って国内に不安定な治安と混乱が押し寄せているような気がする。
2年後に独立50周年記念行事が行われると考え、独立後最初に入国した日本人として、出来ればその時訪れてみたいと考えているが、どうもその願いは難しいようだ。
さて、国内では消費税軽減税率に中々決着がつかず、昨日漸く最終案が自民党と公明党の間で大筋においてまとまった。二転三転した挙句に食料品は、酒類と外食を2%消費増税して他の食料品はこのまま8%に据え置きと決まった。これで食料品関係だけで1兆円の税収が見込めなくなった。普通の投資なら財源をどう充てるかということは、事前に考えられて当然である。だが、政治家の話というのは、目先に選挙があるため、そこまで考えが及んでいない。結果的に1兆円の財源は、すぐには決められず先送りされることになった。
それが今日になって食料品以外にも新聞を軽減税率の対象にすることを自民、公明両党の間でいとも簡単に取り決めてしまった。この話は噂には上がっていたが、かなり前に消滅していた筈である。これでまた手当する資金が必要になった。信念も哲学もない政治家の決着というのは、概して毎度こんな好い加減な落とし所で誤魔化している。メディアも自分らにとってメリットのあるこの実情を平板に伝えるだけで、強く抗議するとか、糾弾する姿勢が見られない。儲けものと考えているようだ。政治がダメなら、メディアも救いようがなくなった。新聞の軽減税率は政治サイドからの睡眠薬なのではないか。政治とメディアの体の好い談合ではないだろうかとつい勘ぐってしまう。まったくイイタマでお笑い種である。
一方、パリで開かれていた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)では、新たな温暖化対策の世界的枠組みを決める「パリ協定」を漸く全会一致で採択して閉幕した。196カ国・地域が参加したこの会議では、温室効果ガスの削減を目指し、石炭や石油などの化石燃料に依存しない社会を目指すことになる。そうなると代替エネルギーとして次は何を開発し、利用しようというのだろうか。その辺りは宿題になっているようだが、これも我が軽減税率決定に伴う財源の先送りと同じようなものではないか。
燃料用に石油と石炭を止めるとするなら、原子力と太陽光、地熱に目が向きがちであるが、太陽光や地下エネルギーは善しとしても、電力供給は原子力に頼るようになるのではないか。昨日インドから帰国した安倍首相はモディ首相との会談で、原発輸出を可能にする原子力協定の締結に原則合意した。
昨日の日経新聞に大きな広告が掲載されていた。保守の論客、櫻井よしこ氏が理事長を務める「公益財団法人・国家基本問題研究所」の宣伝広告で「原子力政策を決めるのは政府です。規制委員会ではありません」と反核派の人たちや原子力規制委員会を牽制するアピールだった。原発再稼働、並びに原子力政策を積極的に進めよと声を上げたのだ。自民党1強多弱のなれのはてである。