716.2009年4月29日(水) 「昭和の日」が静かになった。

 「昭和の日」であるが、かつての天皇誕生日はとっくに卒業して平凡な祭日となった。しかし、それにしても昭和天皇の誕生日にその天皇に関するニュースがまったく聞こえてこないのは、ちょっと奇妙な感じである。2,3年前までは、どんな小さなものであれ、何か昭和天皇に関する情報を伝えたと思う。しかも今年は昭和天皇が亡くなってちょうど20年という節目の年でもある。

 最近一部のマス・メディアが昭和天皇の戦争責任について肯定的に触れた。天皇に関してはあまり干渉しないことがこれまで暗黙の了解となっていたと思う。特に、右寄りの人たちは、天皇の戦争責任に触れること自体を避けたいために、敢えて昭和天皇が話題になることを避けようとしている節がある。原寿雄著「ジャーナリズムの可能性」では、はっきり昭和天皇に戦争責任ありと断定している。存命中にうやむやにしてしまった昭和天皇の戦争責任は、今や時間的に取り返しはつかないが、やはりきちんと決着はつけるべきだというのが原氏の持論である。原氏の講義の際にも昭和天皇には戦争責任があると明言していた。徐々に天皇の戦争責任を追及する空気が盛り上がるのを避けようと、敢えてマス・メディアがニュースとして取り上げるのを避けたとするなら、これは右傾化の流れではないか。

 昨日本稿で補正予算のてんこ盛りについて触れたが、今朝の朝日「天声人語」でも黙っていられないと厳しい「天の声」を突きつけている。今年度国家予算は合わせて100兆円を超えて過去最高額となった。新規国債も44兆円で税収に匹敵する。「天の声」が批判しているのは、「100年に一度」の不況を政府の護符として、何でもありの政策決定は許せないというのである。ところが、今日からゴールデンウィークで日本の2大巨悪、政治家と官僚は仕事をしない。マス・メディアでこれだけ批判されても政治家は自分勝手にしかものを考えないのだろう。

 それに引き比べ、今日観たNHK「にっぽん紀行・高知93歳カツオ漁師支える89歳妻」には感動した。強欲な政治家と比べるのもどうかと思うが、この高齢で一艘のカツオ船に2人で乗船して、夫はカツオ釣りの様子を、妻は最近になって心配だからとただ傍で夫のやることを黙って見て支えている。息子や周囲からも船を降りるよう説得されるが、受け入れない。そのうえで、「年老いて船を降り船を売った漁師が次の年に亡くなった例が多い」と頑固に沖へ出る。結婚して70年の夫婦がお互いに支えあう姿は美しく見えた。政治家もこういう美しく支えあって仕事に夢中になる夫婦愛を見て少しは見習ってはどうか。

2009年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com