今日も新聞とテレビは新型インフルエンザ感染の話題で持ちきりである。昨晩成田空港へ帰ってきた若い女性が感染の疑いありとして隔離されたが、今朝になり検査の結果新型インフルエンザではなく、通常のインフルエンザということが分かった。ところが、25日にカナダから帰ってきた横浜の高校生が今朝1時過ぎに新型インフルエンザ感染者第1号と診断され、隔離されたと舛添大臣が発表した。しかし、この高校生も疑いが晴れ、大臣が言うように新型インフルエンザではなく、一応通常のインフルエンザと分かった。
この後の舛添大臣と中田横浜市長の鞘当てがお笑いである。まったくこんな時に誤報道の責任は相手方にあると言わんばかりの言い争いを見せ見苦しいことおびただしい。
笑っちゃうと言えば、新型インフルエンザの疑いから解放された高校生の通う高校長が、涙を流しながら「嬉しい。万歳ですよ。ヤッターという感じです」と述べた。この無邪気な喜び方のパフォーマンスは、些か常軌を逸しており、果たしてこれが高校の校長先生かと思った。事柄を間違えているのではないか。どこもかしこも知的レベルが下がっているのではないかと心配になってくる。
ついにというべきか、アメリカ自動車産業ビッグ3のひとつ、クライスラー社が経営破綻した。この後経営再建を目指し政府の支援を受け、同時にイタリアのフィアットとの資本・業務提携を目指す。クライスラーといえば「ジープ」や「ダッジ」が有名だし、マンハッタンのクライスラービルは、ニューヨーク摩天楼街の中でも抜きん出て格好のよいビルで、最も好きなビルのひとつだった。
さて、昨日で連載が終った日経紙「私の履歴書」の筆者、近藤道生氏の自伝は興味があり、久しぶりに印象深いものだった。今年傘寿にしてなお博報堂最高顧問として矍鑠と活動されておられる。第1回から戦争体験を書き、半分の15回分を戦争記述に費やした。戦争の悲劇を実体験から淡々と書いており、しかも生死の境をさまよい終戦をシンガポールで迎えた。その間南方で中学時代の同級生と出会いながら、その友を失うなど、随分苦労を重ねた苦しみを余すところなく描いていた。後に国税庁長官にまで栄達しながら、民間会社で力量を発揮して人間的にも中々の魅力のある人物であることが分かる。
昔はこういう肝っ玉の据わった人がかなりいたものだ。