昨日に続いてジャック・アタリ氏に対する2度目のインタビューが放映された。アタリ氏は思索的にも、実践的にも「超民主主義」を自分自身で実行している。
まだ読んでいないが、著書「21世紀の歴史」(作品社発行)の中でアタリ氏は「世界を襲う5つの波」について説明している。それが今日のテーマだった。
アタリ氏の思考する5つの波とは、
1)アメリカ支配の崩壊
現在のアメリカ型資本主義の終焉である。これはアメリカの国際舞台からの消滅ではなく、一時撤退であり、20~30年間続くだろう。大英帝国がアメリカに取って替わられたり、ローマ帝国がこの世から消えてしまったのとは異なる。
2)多極型秩序
現在の先進国だけではなく、G20のような形でインドネシア、トルコ、ナイジェリア、アラブ諸国などが参加するような形であるが、国家の存在は厳然として残る。
3)超帝国
強力な資本主義市場に立ち向かうグローバルな統治が求められる。金融制度の確立と自由の規制を考える。物に対する監視は必要であるが、人に対して監視することは許容出来ない。
4)超紛争
超帝国になると軍事面で競争が起きる。貧困層の割合が増加する。結局ノマド(遊牧民)が増える。どこにも移動出来る「超ノマド」、普通の人間「バーチャル・ノマド」、生き延びるために移動せざるを得ない「下層ノマド」に分けられるが、「バーチャル・ノマド」が減り下層ノマドは増え、40年後には30億人にもなるだろう。両極端に分かれる。
5)超民主主義 = 利他主義
他人のために尽くす「博愛」が大切である。合理的博愛と云われるもので、その一環としてアタリ氏自身NPO「マイクロファイナンス」を設立して、チュニジアやセネガルで融資を受けられない人々のために無担保、低金利の融資業を実践している。
である。
時代はこのままの経済体制が続けば人類の生存にかかわってくる。21、22世紀に人類が生き残れるか。それは、経済、軍事、環境による崩壊を抑えることであり、行動するのは今しかない。これがアタリ氏の大筋で言わんとしていることだったと思う。