麻生首相の変わり身の早さというか、節操のなさには驚くばかりである。つい最近も2つばかり気がかりな発言があった。ひとつは、ヨーロッパ外遊中に日本は唯一の被爆国としてアメリカとともに核拡散防止を進める考えだと威勢のよいスピーチを行った。あれっと思った。考えとしては大賛成であるし、日本としては当然取るべき立場でもある。それが、テレビによる放映はあったが、新聞ではほとんど報道されない点が気になるところである。
取り上げられない理由は首相の発言が信頼されていないからである。3年ほど前北朝鮮がテポドンを打ち上げた時、麻生首相は時の外務大臣として国会で「隣国が黙って核実験をやるようなら自衛上わが国もその備えをすることも選択肢にある」という、核実験に前向きな発言を行ったからである。いとも容易く正反対の意見をいうのはいかがなものかと問うてみたい。本音はどっちなんですか。
もうひとつは、外遊直前に世襲議員制限について記者団から問われて、職業選択の自由の主旨からいって制約するのはいかがなものかと応えた。これは自分も世襲議員である立場からしか考えていない発想であって、世襲議員と争う候補者にとっては最初から不利で、これは憲法が保証する平等の原則の観点から考えて、これこそ憲法に違反するのではないかと思うが、これについて麻生首相はどう思っているのだろうか。
こう信頼出来ない、自分の立場でしかものを考えない首相ではわれわれ国民もやる気を削がれる。
ゴールデンウィークも今日が最後である。いずこの高速道路も車で混み合って例年以上の混雑ぶりのようだ。海外旅行客も帰国ラッシュを迎えて、検疫検査と重なりこれも大変である。国内で道路が混んでいる最大の理由は、先月から休日にETC利用の普通車の通行料を一律千円に値下げしたからである。この割引通行料制度をうまく使って北から南まで高速道路を走れば、たった千円で通行出来ることになる。渋滞続きのうえに、高速道路の駐車場も満車状態で車も停められない有様である。
高速道路の値下げが決まった時から、首を傾げたのはどうしてトラックに割引運賃を適用しないのだろうかということだった。案の定取材カメラが駐車中のトラック運転手に聞くと、大いに不満だと怒っていた。それはそうだろう。働いているトラック運転手が渋滞でいつもより無駄な時間がかかる一方で、レジャーに出かける乗用車族がトラックの営業妨害をしたうえに、割引という恩恵を受けているのだから。もう少しきめ細かく制度を決められないものだろうか。
ゴールデンウィークに格別の思いがあるわけではないが、新聞(夕刊)がまともに読めないし、東証株価が発表されないので、世界の経済の動きについていけない。また郵便も配達されないことで不自由である。1年に1度のことであるが、あまり歓迎という気持になれないというのが率直なところである。