743.2009年5月26日(火) 金融危機と観光振興の講演を聴く

 JAPAN NOW観光情報協会の本年度定期総会が日本プレスセンターで開かれた。決算報告では、財政的に数多くあるNPO法人の中でも珍しいくらい良い財務内容ではないかと思う。その原因は700万円以上の寄付金をいただいたことが寄与している。決算数字としては約900万円差益が生じた。この不況の時勢にあってめでたいことである。

 総会の後例年通り講演が行われた。昨年は渡辺喜美・行政改革大臣が当時の話題である役所の行政改革について、奥歯に物が挟まったような歯切れの悪いスピーチをされたが、今日は2人のスピーカーがタイムリーなテーマについて、濃い内容を立て板に水を流すが如く話された。

 最初に前経済産業省事務次官・北畑隆生氏が「世界同時不況は怖くない」と題して明快に話された。金融危機の現状と原因、日本の相対金融、日本の景気回復のシナリオ、日本経済の将来~人口減少下での成長戦略等について、資料を示しながら分かりやすく説明された。今回の金融危機については、アメリカの証券型金融が崩壊したのであり、日本の相対金融とは違うとはっきり論じた。従ってアメリカの金融危機と日本のそれとは根本的に違う。アメリカの経済は、GDPについて車、住宅、クレジットの3業種が打撃を受けたと説明されたが、その一方で農業、航空機、IT、医療等の分野で依然として世界トップの実績があり、その点から3業種が回復しても即アメリカ経済復活とはいかない。アメリカの救いは日本とは違い人口が増えていることである。来年半ばから回復へ向かうだろうとの結論だった。中国は来年の上海万博を成功させるとの国家目標があり、現状では成長率は鈍るとしてもアメリカ、ヨーロッパ、日本等の先進国がマイナス、或いは成長率鈍化の中である程度の成長率を維持出来るものと考えられている。

 中々頭のシャープな人で澱みのない話しぶりに、聴衆は感心していた。北畑氏については、3月に北康利氏にインタビューした際伺っていた。北畑氏は北氏の故郷・兵庫県三田市の出身で、北氏の母上の教え子である。北畑氏は現在日本生命に特別顧問として初めて天下っている期間だが、これは高校時代の友人・牧野力くんが通産次官の後に最初に天下った会社と同じである。多分最高位まで上り詰めた役人が最初に天下る指定席なんだろう。

 次いで登壇したのは、須田寛・JR東海相談役で都市の観光振興について持論を展開された。単に観光業界の論客として各地で講演されるばかりでなく、独自の観光論を持論としている。特に、これまで観光が地域振興等の経済的プラス面を取り上げられることがなく、「遊び」の観点から語られることが多かった。東京の観光、自分たちが住む都市の観光をもっと意識して、売り込もう、それが経済効果をもたらすと語って話を締めくくられた。

 終ってからパーティが開かれたが、2人の講師の話す内容が良かったので、中々充実した総会プログラムとなった。

2009年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com