いま政治が前へ進まない。衆議院の会期も先日55日間の延長を決めたばかりだが、それも衆議院解散に照準を合わた妥協の産物である。次の総選挙へ向けたマニフェストが思うようにまとまらないようだ。その最大の焦点は、世襲議員の制限に関することで自民党の考え方がよろめいている。当初は次の総選挙から現職議員の3親等以内の立候補者が同選挙区から立候補する場合は、党が公認しない方針だった。選挙責任者がその方向で党内の意見をまとめ、ほぼその通りになるだろうと思っていたところが、一転して次の次の選挙から実施ということに決まりそうだ。
これで小泉純一郎・元首相の次男と臼井日出男・元法相の長男が救われて、次回は間違いなく当選ということになるだろう。臼井氏の子息のごときは「ひと安心。いや、ふた安心」と言ったというが、この無邪気な鉄面皮の世襲坊やにはがっかりである。あなたは他のライバル候補者より有利な条件で戦って父親の遺産で多分当選するだろう。親の力を借りてライバルをやっつけることに何の良心の呵責も感じないで果たして喜んでいてよいものですか。情けない奴だ。
マニフェストでは、衆参議院の議員定数削減もある。削減人数、削減の時期も欲の皮が突っ張って決まらない。公明党への気兼ねも邪魔になっている。共産党は削減それ自体に反対している。
日本郵政社長人事は今最ももめている。総務大臣の認可がなければこの人事は認められない。鳩山邦夫大臣が大きな態度と声で、絶対に西川社長の再任を認めないと広言している。自民党内はもちろん、野党からも賛否両論の声が挙がっているが、鳩山大臣は自分の一念を通すことだけしか頭にないようだ。大臣と西川社長が最近会ったという話もない。話し合いもなく、ただ正義のためだ、信念に基づいてなどと言ったって所詮大臣は権威だけを振りかざしているに過ぎない。一方的に辞めさせるとの居丈高な態度を続けている。西川社長の評価は別にしても自己顕示欲が強すぎるのではないだろうか。
大臣ともあろうものが、なぜこれほど威張り散らすのか。元々鳩山氏のパフォーマンスは強引で、他人の意見を聞かない。このように人を人とも思わない人間が人の上に立つ資格はあるのだろうか。「実れば垂れる稲穂かな」と云われるようでありたい。この人も典型的世襲議員だが、今検討中の制限ルールでは世襲議員には当らないという。誰が見ても世襲議員のような人間が威張り腐っている構図が一番下品で、軽蔑されることが分からないのだろうか。尤も野卑でこのような図々しさがあるからこそ世襲議員をやっていられるのだろう。