一昨日の本欄で疑問を呈した1件だが、案の定といったら良いだろうか、堂本暁子・前千葉県知事が先の千葉県職員公金不正事件発覚に関連して、朝日新聞の質問に重い口を開いた。「まったく知らなかった。前知事として他人事ではすまされない。自分に起きた出来事のように心が痛む。本当に遺憾という言葉以外に見つからない」。
この人は一体何を言わんとしているのだろうか。他人事ではないと言いながら、他人事だと思っているのは当時知事だった堂本氏自身ではないか。なぜ自分に大きな責任があると言って素直に謝罪出来ないのか。この破廉恥な不祥事から逃げていて、朝日記者に捕まったから止むを得ず逃げ口上を言っているだけだ。その発言からは、自分にも大きな責任があると認めているわけではなく、役人の責任逃れの典型である「遺憾である」との言葉が出てきた。そのうえで、朝日によれば、来週中にも副知事ら県幹部から状況の説明を受けた後、「真摯に対応したい」ときた。
こういう発言をしておいて「真摯に対応したい」もないものだと思う。この人は結局事件から何とか逃げようと思っているだけに過ぎない。知事を2期も務めていて職場中で悪さをやっていた、その組織のトップとして8年間もの間、「まったく知らなかった」とは、あまりにも無神経で感度が鈍く、危機感に乏しく、管理能力もまったくなっていない。組織の頂点に立つ人としては失格である。小学生時代に7年半もの間住んでいた元千葉県人としては情けないという気がする。これでは、こんな人を知事に選んだ千葉県民も救われまい。
さて、日本航空が営業不振に陥っていたことは周知のことであるが、先日の国交省への再建策説明に続いて、昨日になってアメリカのデルタ航空との提携交渉がクローズアップされてきた。どうも国交省が主導している気配があるが、デルタ航空を引受先とする数百億円の第3者割当増資をする方向で交渉しているようだ。ついに天下のナショナル・フラッグ・キャリアが外国航空会社に跪いて、大株主になってもらうようだ。
リーマン・ショックとか、新型インフルエンザによる利用客の急激な減少という不測の要因もあるが、内在的な高い給与や、社内に8つも乱立する労働組合の存在に加えて、旧JAS社員との確執と対立、働く従業員の帰属モラルと能力も影響していると思う。
しかし、その根っこには国策会社にありがちな社員の鼻持ちならないプライドの高さと、絶対つぶれないという気持ちの甘えがあるように感じたのは私だけではないと思う。表に出る経営不振の原因と隠された本当の原因をよく究明して、1日も早く態勢を立て直して欲しいと願うのは、単にかつて仕事上の取引があったからとの外野席の同情心からだけではない。