アメリカのトランプ大統領もついに気が狂ったのか、大統領の職務を放棄してゲームを始めたような印象を受ける。国際社会のリーダーであるべき人物が、仕事を放ったらかしにしてこれほど世界中に迷惑をかけるようなゲームに夢中になって良いものだろうか。この一両日の間に、トランプ氏が課す関税について、相手国からの不満、反発と悲鳴が聞かれるが、特に中国に対する思い付きの対応は、とても正気の沙汰とは思えない。最初に相互関税と称して中国に34%課すと公表した。これに中国政府が反発するや54%に増やし、その重税には中国も報復関税を考えていると聞くや、更に50%を上乗せして104%に変更し、これに中国も反発して対米関税84%を実施すると公表した。すると即座にトランプ爺は、何と更に50%を上乗せして154%と想像もつかない関税を課すと言った。それが昨日のことである。それから僅か13時間後に何を想ったのか、相互関税は90日間延期すると関係者や株式市場を困惑させたまま一旦小休止とした。こうなると最早遊び感覚である。ダウ平均株価は連日大幅に上下を繰り返している案配である。世界が一刻を争うような時節に、こんなゲーム遊びで暇つぶしをしても良いのだろうか。トランプの頭の中には、正しい意味ではない「唯我独尊」が蔓延っているようだ。
そんな時に、政権内でトランプへ相互関税を控えるよう具申する珍しい取り巻きが現れた。何とトランプ爺の大統領選挙資金拠出で政府要職に採り立てられた、イーロン・マスク氏である。マスク氏も同じ穴のムジナなので首を傾げたところ、その真意は関税によってマスク氏の経営するテスラ社の車が打撃を受けるので、中止して欲しいという身勝手な要求だった。マスク氏もすでにお役目を果たしたとして、近々閑職から閣外へと御用済となる予定である。
それにしてもトランプ政権の閣僚は皆揃いも揃って、トランプ様と奉ってイエスマンばかりである。マスク氏のように逆らったら直ぐ首だ。閣僚もそうだが、アメリカ国民の声は先日関税反対のデモ行進があったが、トランプ爺の言動に対する反対の声は一向に盛り上がってこない。アメリカ国民も、平等を認めず差別を認めて、民主主義を返納するようになってしまったのだろうか。
一応90日間相互関税は延期されることになったが、ヨーロッパではアメリカに対する不信感が噴出している。そこへヨーロッパ最大の経済大国・ドイツでは新政権が発足する。ドイツも関税には頭を痛めている。2月に実施された総選挙で第1党となった中道右派「キリスト教民主・社会同盟」と第3党だった中道左派「社会民主党」が、連立合意により「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ氏が、政権を握り5月に新しい首相としてデビューすることを公表した。さぁ!ドイツはどういう対応をするのだろうか。
他方、フランスではマクロン大統領が6月にパレスチナを国家として承認する考えを示したが、これは先進7か国(G7)でも初めてのことであり、トランプ大統領も腰を抜かすのではないか。あまりにもトランプ政権がイスラエル寄りの姿勢を鮮明にし、イスラエルとパレスチナの2国家共存に否定的な考えに危機感を抱いているせいもあるが、マクロン大統領のトランプ氏へのさや当てのようだ。こうして欧米国家間にも、トランプ砲の一発によりさざ波が立ってきたようだ。これから反トランプ旋風はどこまで広がることになるだろうか。