6512.2025年3月12日(水) フィリピンで現・前大統領が対立

 随分昔の話になってしまったが、51年前の今日、フィリピンのルバング島から旧日本軍の小野田寛郎元少尉が多くの人が出迎える中を30年ぶりに羽田空港へ帰ってきた。偶々元第五飛行師団所属の軽爆撃機隊・第8飛行戦隊のビルマ慰霊団にお供して羽田を出発する時に小野田さんに遭遇し、「往く人還る人」との見出しで、小野田さんとともに第8飛行戦隊のことを翌日の新聞に紹介されたことがあった。

 当時旧厚生省の太平洋戦争戦没者遺骨収集事業の中部太平洋地区収集団に携わっていて、毎年2月の1か月間はサイパン島に滞在していた。1972年グアム島の岩窟内に潜んでいた元日本兵の横井庄一さんが発見された。当時の遺骨収集団長の厚生省課長は陸軍士官学校出身だったせいで、2人とよく話が合い裏話を混ぜていろいろ聞かせてもらったことがある。興味深かったのは横井さんが女性に強い関心があり、グアムの病院で治療中に看護師の手を握って離さず、異常な行為に早くお嫁さんを見つけてやって夫婦2人にした方が好いと言っていた。その一方で小野田さんは女性にまったく関心を示さなかったと伺った。2人は間もなく良い相手を見つけて幸せな結婚生活を送られた。とにかく今日3月12日と言えば、横井さんと小野田さん、性格の異なる2人の旧日本軍兵士のことが思い出される。

 さて、その小野田さんが戦後潜伏していたフィリピンで異常な事態が起きた。ドゥテルテ前大統領が逮捕されたのである。大統領就任以前のダバオ市長時代から麻薬撲滅に力を入れ、超法規的なやり方で6千人を超える死者を出したくらいで、その手法は荒っぽかった。充分な取り調べや裁判を経ずに多くの人が殺害され、無実の人もいたとみられていた。その荒々しい行為に対して国際刑事裁判所(ICC)は人道に悖るといて逮捕状を出した。フィリピンはICCの加盟国ではない。だが、マルコス大統領は逮捕に踏み切り、香港から帰国したドゥテルテ前大統領をマニラ空港で逮捕し、ICCの本部があるオランダへ向かわせた。

 不思議なのは、マルコス政権の副大統領が、ドゥテルテ前大統領の長女サラであることである。その経緯は、以前からマルコス家とドゥテルテ家の間で対立があり、2月には下院でサラ副大統領が大統領により弾劾訴追され、7月に罷免の可否を審理する弾劾裁判が開かれる。本来なら大統領に忠誠を誓うべき副大統領が、大統領から愛想を尽かされたような理解し難い対応をされている。他にも両家の対立には、原因があるようだが、国を代表する大統領と副大統領が家族も絡んで国際逮捕劇を演じるようでは、救いようがない。2人は同じ大統領府に留まっていないで、対立点があるなら国民にすべて曝け出し、公開の席で国民に説明し支持を問うべきではないか。いつまでもこのような了見の狭い争いをしているようでは、国内はもとより国際社会からも見放されてしまうだろう。

 他国のことであるが、大雑把に知っただけでも普通では考えられないようなトラブルであり、恥ずべき対立であると思う。

2025年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com