今日は戦前帝国日本に軍事色が強くなりつつあった時代に、恐るべき青年将校によるクーデター・2.26事件が発生した。あれから89年になる。毎年思うことだが、この軍部のクーデター以降日本は益々軍国化の道を進み、太平洋戦争へ突き進んで行った怖い事件である。近年メディアではほとんどこの2.26事件について報道しないが、珍しく今日18:00のNHKニュースで軍国主義への自戒を込めて犠牲者を慰霊する式典を開催したことを伝えていた。メディアが戦時色に染まる日本の現状を伝えない限り、日本はどんどん保守化、軍事国家、戦争へ近づいていく。メディアは、この重大な事件をしっかり伝える責務があると思う。今トランプ大統領をはじめ世界の指導者も戦争を知る人、そして戦争を恐れる人はほとんどいなくなった。怖い時代になったとつくづく思っている。
さて、一昨日のことである。戦後の国際政治の場で、アメリカがロシアと組み、中国ともどもヨーロッパ諸国と袂を分ったような印象を与えた場面があった。こんなことは初めてであり、これが国際社会に新たな難問を突き付けたのではないかと懸念している。
ウクライナへロシアが侵攻してから3年目となった一昨日、国連安全保障理事会は、アメリカが提出した決議案を賛成多数で採択した。その決議案とは、ロシアとウクライナの紛争の迅速な終結を求めるもので、表面上の字ずらだけを見た限りでは、誰しも歓迎し賛同するものだ。だが、決議案の中身をよく見てみると、この侵攻におけるロシアへの批判の文言はなく、トランプ政権のロシアへの融和姿勢と欧米間の亀裂が鮮明となっている。英仏などヨーロッパ5か国は採択に際して棄権を選択した。侵攻開始以来アメリカはバイデン前政権の下で一貫してウクライナ支援を打ち出していたが、今ではトランプ大統領がアメリカの立場を転換させアメリカ・ロシアがともに賛成するような決議案を提案するような事態になった。15理事国の内ヨーロッパ5か国が棄権したことにより、アメリカの決議案が通過した。しかし、英仏両国はロシアが全面侵攻したことを記述する修正案を提案した。だが、それは無駄だった。フランス国連大使は、「侵略が報われ、弱肉強食が罷り通れば、平和も安全もどこにも存在しない」とロシアとウクライナを同列に扱ってはならないと厳しく論じた。
安保理事会とは別に開催された国連総会の緊急特別会合でも、ウクライナを巡る欧米の亀裂が露呈され、ロシア軍の即時撤退を求めるウクライナとEUが提出した決議案に対し、考えられないことだが、アメリカは反対票を投じた。幸い決議案は賛成多数で採択されたが、193か国の内賛成は93か国で、2023年の141か国の賛成から50か国近くも減った。これには、トランプ政権との関係を重視して棄権や反対に回った国が多かったと見られている。日本は今回賛成に回ったが、対トランプ外交を考えると今後の対応が難しいだろう。大丈夫だろうか?
同時に主要7か国(G7)は首脳会議を開いた。トランプ大統領はAIで就任後初めて出席し、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、頭越しにロシアとの停戦交渉を進めるトランプ政権の姿勢に対する警戒感をあらわにした。ここでもロシアを非難する表現で首脳声明の調整が難航していると見られ、G7としての結束を示せない状態である。
トランプ大統領の理由が分からない対ロシア融和政策によって、ヨーロッパを中心に世界中に不安と不信感が広がっている。