6487.2025年2月15日(土) トランプ大統領、米国第一主義で「相互関税」導入

 世界中に吹き荒れているトランプ旋風により、各国は困惑しその対策に大わらわである。今朝の「天声人語」に「史記」から派生して生まれたという「馬鹿」という言葉になぞらえて400年もの間使用されていた「メキシコ湾」の名を「アメリカ湾」に、時の権力者が呼び名を勝手に変え、AP通信社のように従わない者にペナルティーを科すことに憤慨し、アメリカから流れてくるニュースに憂鬱な気分になるとぼやいている。その気持ちは、痛いほどよく分かる。

 悪名高き傲慢トランプは、「相互関税」の導入を指示した。これは、アメリカ製品に高い関税を課す国に同じ水準の関税をかけるものである。ただ、この他にもアメリカからの輸出を妨げる規制などの「非関税障壁」についても問題視しており、関税率の低い日本もその例外ではなく、特に、大統領は以前から日本の自動車市場は閉鎖的だと指摘してきたことから日本もターゲットにしそうである。

 現在アメリカの赤字貿易額が多い順位は、中国が断トツで2,954億㌦、以下メキシコ1,718億㌦、ベトナム1,235億㌦、アイルランド867億㌦、ドイツ848億㌦である。日本は台湾に次ぐ7位685億㌦で平均関税率も決して高くない1.9%である。それでもトランプ大統領は、相互関税の標的になり得る国として、関税率の低い日本と8.4%と高い関税率の韓国を名指しで標的に挙げているようだ。日本の場合は、安全や環境についての基準や、そもそも国内製品を優遇する規制が、お気に召さないようだ。日本の制度にお灸をすえる気構えが感じられる。特に前政権時に、自動車市場では日本メーカーに有利な規制があり、日本はアメリカの車の販売を難しくし、為替も円安方向に操作されているとの不満があったと見られている。

 また、とりわけインドに対して手厳しい。対インド貿易額は457億㌦の赤字で、対赤字国の中で10位ではあるが、アメリカ製品の輸入に対して12%という高関税を課している。一昨日アメリカ・インド首脳会談では、インドのモディ首相はトランプ大統領に一切反論せずにアメリカ産の石油・天然ガスの輸入や、武器の購入拡大に向けてアメリカと合意し、近々相互に利益のある貿易協定の締結を目指すと言ったが、本当に大丈夫だろうか。ホワイトハウスの関税関連文書には、インドの高関税を徹底的に糾弾し、「農産品関税はアメリカ5%、インド39%、オートバイはアメリカ2.4%、インド100%」とまで皮肉たっぷりに非難している。

 何でもかんでも法の名の下には可能であると、個人的な偏見で押し付けがましく大統領令を発令し、多くの国々や人々に圧力を課すような言動が罷り通っていること自体がおかしい。「馬鹿」を生んだ秦の国の大臣趙高の極悪非道ぶりに、部下は黙り媚びへつらうようになったようだが、トランプ大統領も21世紀の趙高となってしまったのではないだろうか。

2025年2月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com