このところ食料品を中心に物価がものすごい勢いで値上がりしている。卵に始まってトマトやキャベツなどの野菜類に、乳製品も値上がりして、昨今では主食の米が急激に高くなっているようだ。例えば極上米コシヒカリの小売価格は、昨年1月には5㎏で2,440円だった。それが、米不足が深刻化した夏ごろに大きく変動し、9月には3,285円となり、わずか1年後の今年1月には、何と4,185円にまで値上げされた。
大きく価格が上がった昨年9月には、政府備蓄米の活用を求める声が上がったが、当時の坂本哲志・農林水産相は、「今後新米が順次供給されて、一定の価格水準に落ち着くと考えている」と備蓄米放出要求の声には、応じなかった。ところが、その後も値上がりは止まらず、一昨日には都内スーパーで5㎏4,480円の価格水準に達してしまった。
今回の米価格の高騰につき、根本的には米不足が原因とみて政府も備蓄米の放出の検討を始めた。そもそも国が法律に基づいて米の備蓄を行うようになったのは、1993年全国的に米不足に陥り、その翌年食糧法により、国がコメの不足に備えて必要な数量を在庫として保有しておくことが定められたものである。現在政府の管理する備蓄米は、100万㌧である。ただ、農水省によると、昨年収穫された米は679万㌧で、一昨年より18万㌧も増えたと見られているという。それでも米の価格高騰が続いている背景には、米の買い付け競争が過熱していることや、昨夏の米の品薄を受けて、例年より多めに在庫を確保する動きなどがあるからだと伝えられている。
実際生活面では、弁当店などでは弁当自体の価格をこれ以上値上げ出来ず、困惑している。大学の学生食堂などでも材料費の値上げに四苦八苦で、今はひたすら政府の備蓄米の放出により価格値上がりにブレーキがかかることを期待している。この事態に農水省は備蓄米の放出に踏み切る決断をするだろうか。
他方、値上がりは高齢者の医療費にも及んでいる。それは75歳以上の国民が皆加入する後期高齢者医療制度の保険料である。保険料は、2年に1度値上げ改正されている。例えば、一人当たりの保険料を月額でみると、2022~23年度は6,575円だったが、24年度には7,082円となり、25年度には月額7,192円となる見込みである。
厚労省の考え方は、少子高齢化を念頭に若い人に大きな負担をかけないよう、また出産育児一時金を全世代で支える仕組みを導入することなどから、高齢者の医療費ばかり補助することは難しいということのようである。また、他にも2024年度から後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるよう見直すということも考えているようである。
それぞれ言い分は分かるが、高齢者には仕事はあまりなく、外で稼ぐことは難しくなっており、負担だけが毎年増えていくのは、いずれ耐えられなくなるのではないかと心配である。
近々2024年分の税務申告をするが、妻と私の2人分の2024年に支払った医療費は、初めて50万円を超えてしまった。年々医療費は増えつつあるが、これ以上高額になると今後支払えるかどうか心配である。