6480.2025年2月8日(土) 石破首相・トランプ大統領首脳会談の成果は

 日本時間の今朝未明アメリカを訪れていた石破茂首相とトランプ大統領の初めての首脳会談が行われた。図々しさを表に現わす大統領に対していつも煮え切らない表情の首相がどう受け答えするのか、少々気になるところがあった。会談後共同記者会見を行った両首脳は、それぞれまずまずの感想を語った。

 日米関係をインド太平洋地域の平和と安全の礎と位置づけ、日米同盟の抑止力と対処力を強化する点で考えは一致した。同時に石破首相は、対日貿易上1,000億㌦を超える膨大な赤字額については、アメリカへの投資額を1兆㌦まで引き上げることで合意した。渦中にある日本製鉄によるUSスチール買収計画については、投資という考えで一方的な利益にはならないとの認識を共有したということである。

 アメリカの対日貿易の赤字額については、具体的に液化天然ガスの輸入を増量すること、防衛費の増額により兵器類、防衛装備品を更にアメリカから購入することを確認した。同時に、日本の防衛に対するアメリカの関与も確認した。対中国問題については取り立てて大きな話題にならなかったようだ。

 会談を終えてフロリダ州の自宅へ戻ったトランプ大統領は、石破首相の印象について聞かれて「彼はナイスガイで、タフガイだ」と語ったそうだ。これからの日米の首脳の存在は世界中からも注目されるだろうが、今日の会談ではお互いにとがったような印象はなく、無難に終えることが出来てやれやれである。

 石破首相は会談後、ワーキングランチを済ませて大統領とともに共同記者会見を行い、慌ただしくワシントンを去って帰国の途に就いた。帰国後如何なる評価が成されるか、手始めの第1回会談としては、大体こんなものだろうとの感想である。

 一方、トランプ大統領にとってはこれからいくつも関門がある。いずれも自ら蒔いた種であるが、国際的に新たにその正当性を問われているのは、国際刑事裁判所(ICC)が昨年11月に、イスラエルのネタニヤフ首相らに出した逮捕状に対する報復措置として、トランプ大統領がICC職員への制裁を可能にする大統領令に署名したことである。直ちに赤根智子ICC所長が、ICC加盟国、法の支配に基づく国際秩序、そして数百万人もの犯罪被害者への深刻な攻撃であると強く遺憾の意を表明した。更に赤根所長は、アメリカが裁判所の独立性や公平性に干渉しようとする試みには断固拒否すると強調した。大統領令を批判するICC加盟国の大半による共同声明には、イギリス、フランス、ドイツ、カナダなどは名を連ねたが、核禁止条約と同様、これもまた日本は名を連ねていない。これこそいつもながらの日本政府のアメリカ政府斟酌の二律背反行為である。この姿勢がいつまでも直らないようでは、日本はいつまで経ってもアメリカの属国、植民地の罠から抜けられないだろう。

2025年2月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com