この数日来日本列島を襲っている今季最強の寒波には、各地が音を上げている。南国・鹿児島県や愛媛県にも大雪警報が出る有様である。昨日北海道で普段あまり雪が降らないと言われる帯広市内でも、風向きが変わって全国でも史上初めて最高の積雪をもたらした。実に12時間内に120cmの積雪があり、市民は思いがけない大雪に戸惑い処理に大わらわだった。今日も雪が降り続いており、まだこの降雪はしばらく続くようだ。メディアでもTV画面をフルに使って大雪と、雪と戦っている困惑する住民を映し出している。
さて、今日もまた、愚か者トランプ・アメリカ大統領への批判をせざるを得ない。言いたいことは3件ある。
そのひとつは、大統領が他国の領土についてとんでもないことを言ったのだ。ほとんど崩壊したパレスチナ・ガザ地区の住民200万人を、他のアラブ国であるヨルダンとエジプトに移住させ、ガザ地区はアメリカが統治し再建を担うと当事者を置き去りにしたまま、一方的な戦後復興策を打ち出した。ガザ地区を出来もしないような多数の雇用を創出し、リゾート・リベイラのような中東の誇りになると自慢気に語った。同時にガザ地区は、アメリカが長期的に所有しアメリカ軍の派遣も考えているとも述べた。しかも何を考えているのか、イスラエルのネタニヤフ首相同席の記者会見の場である。お互いに住民のことなんてまったく考えてもいない。この非常識な発言に対して、ハマスをはじめアラブ諸国や、フランス、ドイツも国際人道法違反であると一斉に反発している。
2つ目は、世界各地の人権問題に取り組んでいる国連人権理事会からアメリカが再び離脱する大統領令に署名したことである。大統領に言わせれば、国連にはアメリカが多くの資金を拠出しているが、アメリカにとってはあまりプラス材料がないというのが言い分である。前回の大統領時代にも同じような主旨で離脱したが、国際協調を重視するバイデン前大統領の誕生によって人権理事会に戻った。それをまたもや繰り返そうというのである。彼の考えていることは、「アメリカ・ファースト」、つまりアメリカ第一主義であるが、余りにも露骨なやり方には、また世界中から非難が浴びせられることだろう。
3つ目は、そのトランプ「アメリカ・ファースト」主義が、今度は国内でも新たな問題を提起している。ロイター通信によれば、大統領はマクマホン教育長官に教育省閉鎖に取り組むよう指示する大統領令を月内に発表する予定である。大統領の主張する要点のひとつに、アメリカは世界のどの国よりも生徒1人当たりの支出が多いと指摘した。確かにアメリカの小中校を何度も訪問して感じたのは、日本の学校と異なり教室内の掃除まで外部の業者に委託しているのを知り、これでは学校の支出が嵩むと思い、日本の先生がどうして教育的にも効果的な掃除を生徒にやらせないのかと質問したら、生徒には教育に直接関係のある毎日の勉強とクラブ活動以外はやらせない方針だとアメリカの教育関係者から応えられたことがあった。
それにしてもこんな大事なことを十分な議論もせずに、大統領の一存だけで独断的に決めようというのは、非民主的であり、あまりにも不条理であり不謹慎でもある。幸か不幸か、省庁閉鎖のような重要法案の可決には、上院にハードルがある。上院の議員は100名で、現状は53対47で共和党が過半数を制しているが、法案承認には60名以上の賛成が必要で60票には届かない。大統領は、反対しているのは教職員組合だけなので、彼らと協力する必要があると語ったが、国家の重要な議題を議会で充分話し合う様子もなく、ひとりで勝手に決めている。これで民主的な国家が運営出来るのだろうか。
何より気がかりなのは、大統領就任後短期間の内に、これほど身勝手にも世界中に驚愕的な不安と動揺を与え、関係諸国との間に不協和音を響かせながらアメリカ国民がじっとしていて、北朝鮮のように発言を抑制されたかのように何らの反対の声が上がってこないことである。アメリカ人よ! 目を覚ませ! と言ってやりたい。
遂に世界のリーダーだったアメリカもトランプ帝国となり落ち目の三度笠になったようだ。