沖縄の自治体首長選の結果に少々驚いている。実は、昨日投開票が行われた宮古島市長選で現職市長が敗れ、6人の立候補者の中で、副市長だった嘉数登氏が初当選した。敗れた前市長は革新ではなかったが、保革共闘の「宮古市民ファースト」や、「オール沖縄」の支持を受けていて、今回の落選によって沖縄県内にオール沖縄系の市長がいなくなった。2014年11月の知事選で普天間基地移設反対を掲げて、当時翁長雄志元知事が反対勢力を結集して「オール沖縄」を立ち上げ当選した。以降運動の精神を継承してきた玉城デニー知事にとっても少なからずショックであったようだ。
ここには、名護市辺野古の国による移設基地工事の建設を巡り、沖縄県が認めなかったことから設計工事が国の代執行により行われ、すでに1年が過ぎた。「オール沖縄」の内部にも、県民が飽きているとの声が聞かれるという。
それにしても、今沖縄県内では昨年12月にまた起きた米兵による女性への性暴力行為に対して激しいデモが行われているが、日本側にとっては不利な日米地位協定の改定を目指す動きも起きている。これに伴い、来る26日に実施される沖縄市長選に名乗りを上げているナカムラミオ立憲民主党県議が、協定改定を強く訴えている。「オール沖縄」は市長の座を取り戻すことが出来るだろうか。
しかし、最近の県内選挙戦を見る限り、県民から徐々にリベラル思考が消えつつあり、基地問題や日米地位協定への関心が薄らいでいる傾向が窺える。それは、本土に比べて比較的高かった投票率が、少しずつ下がり出していることでも分かる。今回の宮古島市長選でも前回の投票率65.64%から58.99%へ6.65%も下がったことでも分かる。
折も折、アメリカでは明日トランプ元大統領が再び大統領に就任する。回り回って日米同盟が今後も沖縄県民に大きな圧力となって押し付けられるのではないかと心配している。その点でも26日の沖縄市長選で「オール沖縄」の火を消して欲しくないものである。
最近の国内世論にやや保守的傾向が窺えるが、朝日新聞が実施した最近の世論調査によると、石破内閣の支持率が、昨年10月の就任直後は、46%だったが、12月には36%まで下がり、今月には33%にまで落ちている。一時は、岸田政権への支持率を上回ったこともあったが、どうも一過性だったようだ。支持率の下落は保守層への支持が欠けているということではなく、石破茂首相への信頼、支持が落ちているからであろう。国民はこれから「保守」、「革新」のどちらに気持ちが傾いていくだろうか。