6446.2025年1月5日(日) 入学推薦制度の国のルールを冒す私立大学

 今年は太平洋戦争が終わってからちょうど80年目になる。当時国民学校(現小学校)初等科1年生だった私には、あの恐ろしかった戦争の全体像までは、分からなかったが、戦争自体の恐ろしさや怖さは空襲などにより身体全体で感じていた。今朝もテレビで終戦80年を取り上げて現在の世界の風潮を伝えていた。戦勝国のアメリカでも終戦とともにホッと安堵の空気が溢れ、戦いから解放され新たな平和への取り組みが伝えられていた。それが今のアメリカ人はほとんど戦争を知らない人ばかりになってしまった。同じ番組の中で、世界、及びアメリカ国内の「対立」、「分裂」と「差別」を取り上げていた。特に、トランプ次期大統領のごときは、「戦って、戦って、戦って、勝って、勝って、勝って・・・アメリカを再び世界最大の大国にする」と喚いている愚かな芝居があった。終戦時には生まれてもおらず、戦争の怖さを臨場感で知らないトランプ氏が、当時の国民が知った戦争のない平和時代の幸せを知らずに、改めて戦争のきっかけを作ろうとしている。その意味では戦争を知らない世代の人たちの無鉄砲さが怖い。これからはどうしたら戦争を避けることが出来るかということを、世界中で真剣に考えなければいけないと思う。

 さて、そんな世界の情勢とはかけ離れた話題をひとつお知らせしたい。日本の私立大学の経営事情が大分変ってきたようだ。近年少子高齢化の到来に連れて受験生の数が相対的に減っている中で、受験生、学生が増えて名実ともに安定した経営を堅持している大学がある一方で、大学の経営に赤信号が灯りだした大学も表れて来た。それでも受験生の数が減る中で、なお大学新設、定員増などが耳に入ってくるが、大学の実態は、そんなに安定した経営が出来る状態ではない筈である。

 最高学府である大学の実態は、外部からはそう容易く窺い知ることが出来ない。女子学生専門の女子大学や、女子短期大学などの中には、男女共学大へ進学する女子高生が年々増えるにつれ、女子大の名門校も経営が苦しくなり閉学の危機にいて、最近では東京女学館大、恵泉女学園大も新入生の募集を停止した。

 著名な大学の中でも受験生の減少に危機感を募らせ、受験生に負担をかけない推薦入学制度に重点を置いている大学も多くなったようである。最近では、私立大学の中の多くが4月入学者の過半数を年内に推薦入学者で固めているという。スポーツ選手優先の大学などでは、ほとんど無試験で推薦入学した学生を受け入れ、在学中も合宿所に宿泊しながら授業にはほとんど出席せず、単位も何らかの理由を付して授与されていると仄聞する。因みに今開催中の全国高校ラグビー大会で、昨日準々決勝で敗れた2校の選手はほとんど進学先が決まっていた。受験生の心的負担をなくすために、推薦入学制を採用する私立大学が増える傾向にあるが、国立大学でも天下の東大や、筑波大ですら推薦制を採用しているとは、秋篠宮家の悠仁様が受験するまで知らなかった。そこには、推薦入試であろうと受験料は平均3万5千円にもなるので、大学にとっては受験生が多ければ大きな収入源となるようだ。

 ただ、この推薦制度を悪用して、中には勇み足をする大学もある。東洋大学がルールを無視して受験生を攫って行ったとして文部科学省から指導を受け、他の私立大学からも厳しく責任を追及されている。東洋大には、悲痛な願いがあるそうである。それは東洋大が、よく話題となる私立大格付けランク「日東駒専」から抜け出し1ランク上の「MARCH」へ食い込みたいとの願望があるからだそうである。そこで東洋大が冒したルール違反とは、学力試験は2月1日以降でなければ許されていないにも拘わらず、12月1日に2科目の学力試験を含めた推薦入学試験を実施したからである。政治の世界のみならず、学問の府でも違法的行為を冒す非常識な大学が増えている。大学でまともに授業を受けずとも卒業に必要な単位だけは得て、社会へ出ていく。しかし、このような学生が、卒業後に果たして厳しい社会でやっていけるのだろうか。当事者はよくよく考える必要がある。

2025年1月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com