6435.2024年12月25日(水) 懸念されるトランプ次期大統領の強引な手法

 あと1か月足らずでトランプ前大統領が、再びアメリカ大統領に就任する。在野にあってもその発言がとかく物議を醸すことの多いトランプ語録であるが、ここへ来てまた外国を悩ませるような発言をしている。相変わらず、他人や他国のことを考えない身勝手な発言で、いずれも外国の資産を自国のものにしようというような言いたい放題の発言である。

 そのひとつは、パナマ運河をパナマからアメリカへの返還を促す要求である。パナマ運河は、地形的には中米パナマにあるが、アメリカが建設工事に関わり運河を開通させ、以降管理して自国領としていたものだが、ほぼ半世紀前にパナマに譲渡された。パナマにとっては大きな国家資産となり、その通行料も国家財政に大きく寄与している。ところが、トランプ氏に言わせると、運河の通航料金があまりに高く、ぼったくりのようで状況が改善されなければ、アメリカへの返還を要求するとぶちまけたのだ。

 更に、世界最大の島と言われるデンマーク領グリーンランドをアメリカが管理する必要があるなどと、これもまた一方的な主張を展開したうえで購入意欲を見せ、他国の領土を自国領にする強引に主張して外交上の圧力を強めている。グリーンランドについては、もちろんグリーンランド自治政府は、グリーンランドは売り物ではないと拒否しているが、他人の都合を考えず他人の家にずかずか乗り込んで来るようなトランプ氏の厚かましさには、聊か辟易する。グリーンランドへ食指を伸ばそうとするトランプ氏には、前大統領時代にも、世界の国家安全保障と自由のために、アメリカには米軍基地があるグリーンランドの所有と管理が絶対に必要と述べた前歴がある。こんな大統領が再登場したらこれから、更に世界中でもめ事が頻繁に起きることだろう。

 恐らくトランプ氏の言動は、日本にとっても他人事ではないだろう。現在のアメリカ軍基地の存在から見ても、駐留経費はその国の防衛を担っているとの圧力的な言葉で、すべてを被駐留国に負担させるつもりだろう。当然に沖縄米軍基地経費はすべて日本の「思いやり予算」に甘え、自衛隊の銃兵器類や、ミサイルなどの防衛関連整備品はすべて大量にアメリカから購入することを強制されることだろう。更に、中国からの防衛の盾として、台湾を自国領土に組み入れ、やりたい放題をやらかすのではないだろうか。

 今トランプ絡みと懸念されている直近の事象がいくつある。そのひとつとして、昨日バイデン大統領が死刑確定の40人の死刑囚のうち、極悪非道の3人を除き、37人を終身刑に減刑する決定を下した。これは、トランプ氏が大統領に就任したら、必ずや直ぐにも死刑を執行するだろうと睨んで、死刑制度廃止を主張していたバイデン大統領が、思い切って減刑に踏み切ったものである。ところが、今日トランプ氏はこれに反発し、来年大統領に就任したら、直ちに「死刑を強力に推進するよう司法省に指示する」と表明し、彼なりに被害者の家族らの気持ちを汲まなければだめだと批判した、

 日本にとって直接関係のある案件では、今日米経済界で大きな問題となっている日本製鉄による、アメリカ最大の鉄鋼メーカー・USスチール買収問題である。アメリカ人にとって自国の誇りでもあったUSスチールが他国に買収されるのは見るに忍びない思いで、組合が猛烈に反対しているのを梃子に、買収反対運動を起こし、労働者を味方につけたい大統領選前のトランプ氏がこれに同調した。買収問題は近々バイデン大統領の判断に委ねられることになったが、結果はどうあろうとその後もアメリカのメンツを言い、日本製鉄に難癖をつけてくることだろう。

 EUもトランプ外交には、気を遣い、振り回されるのを警戒している様子が窺い知れるが、これから4年間にトランプ大統領は世界中にどんな嫌みと苛めを仕掛けてくるのだろうか。各国とも戦々恐々のようである。

2024年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com