6432.2024年12月22日(日) 軍事国家ミャンマーと独裁者を追放したシリア

 今年も余すところあと10日だと考えると些かセンチメンタルな気分になる。この1年を顧みて年齢に見合う日常を送れているかが気になるところである。

 ところで、このところ軍政のミャンマーの国内情勢があまりメディアで報道されず、ある程度見当はつくが、もう少し頻繁に動きを知らせて欲しいと思っている。今朝の新聞にほんの3段記事に、全国にある14の軍管区司令部の内、西部ラカイン州の軍管区司令部を少数民族武装勢力「アラカン軍」が制圧したと伝えていた。この辺りは加藤建夫・加藤隼戦闘隊長が戦没した海域であるだけに慰霊のために、隼戦闘隊戦友会の人たちと何度か訪れたことがある。想像するに当時の牧歌的な空気は消え失せて厳しい統制が布かれているのだろう。軍事クーデターにより軍部が民主派政権を追放し、国民の間に人気の高かった国家顧問のアウンサンスーチー女史が身柄を拘束されてからあと2か月足らずで3年になる。その後起きたロシア軍のウクライナ侵攻によりミャンマー情勢は、やや世界の目からは印象が薄くなったが、あの優しいミャンマーの人びとが苦しんでいると思うだけで、切ない気がする。

 その一方で最近政権の座を放り出し国外へ脱出したシリアのアサド大統領は、父から政権を譲渡され半世紀に亘りアサド家が独裁者として国内に圧制を敷き多くの国民を抑圧していただけに、彼を追放した反体制派は、暫定政権として取り敢えず念願は叶ったが、問題はこれからである。これまでのアサド政権の非民主的政権として内戦の長期化、及び海外からの制裁による経済の低迷があり、独裁者は国を去ったが、国内の治安、及び経済は苦境に喘ぐことになる。

 実際いくつかの反体制派の中でも中核と見られている「シャーム解放戦線(HTS)」のジャウラニ指導者が、当面暫定政権を引っ張るようだ。彼自身も組織とともに欧米からテロ組織に指定され約15億円の懸賞金をかけられていたほどだったが、これはこのほど撤廃された。

 多くの国々からテロ国家として敬遠され、経済的に孤立したシリアは、経済・貿易関係から締め出されており経済的には極めて苦しく、資金源は麻薬の密造・販売だったと言われている。カプタゴンと言われる錠剤の合成麻薬を政府の密造工場で製造し、中東やヨーロッパの一部にも流れていた。シリア産のカプタゴンは、世界シェアの8割を占めるとされている。アサド大統領は、元医師とは思えない麻薬密造・販売を冒し側近や親族が麻薬ビジネスに注力していたという。

 これまでシリアと親しかった国は多くなく、国内も経済が沈み、例え内戦が停止されたにしても国内経済を維持し、国民が安心して生活できるようにるには、シリアだけではなく欧米大国の支援がなければ立ち直りは難しいと見られている。そのために暫定政権のままで良いのか、それに代わる信頼出来る政権を擁立することが出来るのか、あまり多くを期待出来ない。

 日本にとっては遠い国で、普段あまり関心を抱かない国でもあり、詳細な情報はあまり手に入らないかも知れないが、元々中東諸国に関心が強く、これまでシリアには入国したことがないが、多くのアラブ国を訪れた経験上これからはアサド政権のシリアの再建の行方を注意深く追っていきたいと考えている。

2024年12月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com