一昨日俄かに経済界を驚かせる自動車業界のホットニュースがあった。自動車メーカーのホンダと日産の経営統合である。これに関連してホンダ側ではなく、日産側に経営危機と経営不振に対して責任を取ろうとしない従業員の社長への不審があるようだ。
「選択」12月号に「和製ゴーン『報酬3億円超』の厚顔」として、内田誠日産自動車社長の社内外の評判について厳しいコメントが書かれている。日産は今2つの大きな問題を抱えている。ひとつは、今期中間決算で配当金の無配転落と今決算期の業績見通しが大幅な下方修正で、内田社長がその責任を取り役員報酬の半額を自主返納すると申し出たことである。ところが、組合からこの報酬自主返納についてクレームが付いた。会社の業績悪化の責任を取るのはトップとして当然だが、それでも半額返納してもなお3億2千8百万円の報酬を手にするのは甘いと、組合から全額返納し、即座に社長を辞任すべきであると厳しい要求を突き付けられている。しかし、社長は動じる様子を見せず、ホンダとの経営統合発表の席上でも一向に気にしている様子は見られなかった。
もうひとつの問題は、日産が海外工場で大規模リストラを発表したことである。それも生半可な数ではなく、約9千人というから対象となる従業員と工場のみならず、その影響は計り知れない。このリストラで特別損失が発生し、1千億円単位の最終赤字が発生しかねないという。ゴーン会長が金融商品取引法違反に問われ、自家用機で国外へ逃亡し、内田社長の前任者・西川廣人前社長は、役員報酬を巧妙に操作して4千7百万円多く手に入れ、責任を問われ辞任している。日産の社長は皆守銭奴になると厳しい目が向けられている。
一方のホンダにはかつての勢いはやや衰えたが、今決算でも対前期-12.6%であるが、売上、及び営業益はいずれも前期比+2.8%で、昨日の株価も前日比+9.5円(+0.78%)であり、ホンダとしては日産ほど悪くはない。つまり日産にとってはホンダとの経営統合が、最後の拠り所だったのではないだろうか。
それにしても内田日産社長の転んでもただでは起きない執念というか、なりふり構わず赤字決算の会社の頂点にしがみついていようという強欲には、驚くばかりである。これから両者の経営統合へ向けたプロセスを興味深く拝見しようと思う。
さて、今年は例年に比べてインフルエンザが流行しているようだ。この秋やや健康を損ねたので予防接種をし損なった。いずれ近日予防接種を受けようとは思っている。今年は後半に入っていつもより病院やクリニックに通うことが多かった。東京都の広報によると、東京都内の大学病院や公立病院の2023年度の決算が相次いで赤字に転落し、今年度は更に赤字が膨らむのではないかと懸念されている。ひとつには、昨年5月に新型コロナ5類変更に伴い関連補助金が撤廃されたことによって隠されていた赤字が一気に顕在化したからだと見られている。コロナ渦前に比べると医療による収入は14%増えたが、その一方で人件費、光熱費、業務委託費などが軒並み上昇して支出は17%も増えたという。赤字は当分積立金で補填するようだが、このままだと不採算部門の縮小も考えなければならない。給与の低い大学病院は医師から敬遠されるのではと心配されている。
私が通院している慶應大学病院と国立東京医療センターはいつも大勢の患者の姿が見られるが、それは表面的一面だけなのだろうか。