今日午後韓国国会で2度目の尹錫悦大統領の弾劾訴追案が採決され、全議員の2/3である200名を上回る204票で採決が成立した。去る7日に不成立となった時とは少々様子が変わり、尹大統領の所属する与党「国民の力」議員の中に、弾劾賛成議員が増えたことにより、弾劾賛成票を投じた与党議員が多かった。第1回の採決では、与党議員が全員議場を退場して採決を棄権したことにより、採決に必要な票数が足りなくなり、採決が不成立となった。尹大統領の弾劾訴追案が成立したことにより、憲法裁判所が180日以内に合憲と判断すれば、大統領は失職することになる。
弾劾成立により、大統領が失職するのは、韓国大統領史上廬武鉉大統領、朴槿恵大統領に次いで3人目である。そして、60日以内に大統領選挙が行われる。次の大統領の候補者としてかつて廬武鉉大統領は、見事に復職した例があるが、尹大統領は今四面楚歌の状態で国民の支持は期待出来ず、立候補しても到底当選する見込みはない。最も有力と見られているのは、最大野党「共に民主党」の李在明代表である。しかし、この李代表も起訴に絡む問題を抱えており、近々その判決が下る。もし有罪だと決まれば大統領選への立候補資格を失う。
仮に李代表が、新大統領となると外交上日本にとっては極めて難しい対応を迫られることになると見られている。また、アメリカでもとかくの噂のあるトランプ大統領の就任により、日米韓の関係も微妙な事態に追い込まれる可能性がある。李在明代表は日本に対してみずから「反日闘士」と名乗り、これまで品格を疑うような徹底した反日言動を行っており、日本に対して嫌がらせと妨害行為を行うと懸念されている。現在日韓間に横たわっている懸案に対しても、日本にとって不利になるように振舞うことも充分考えられる。一国のトップの座に就こうとしている人物が、外交上他国に対して極端なまでに悪意の籠った言動を繰り返すようでは、友好的な外交関係を堅持することは不可能と言わざるを得ない。
今最も懸念されているのは、戦時中の元徴用工に対する賠償問題であろう。三菱重工の韓国内資産を売却して、その金を賠償金に充てろというもので、韓国裁判所はすでに売却せよとの判決を出しているが、尹大統領はこれを履行していない。李代表は遺族の意向を実現するよう行動することだろう。他にも日韓間には、世界遺産の佐渡金山の朝鮮人強制労働問題や、すでに解決済みの朝鮮人慰安婦問題も蒸し返す可能性もある。
いずれにせよ弾劾問題は、韓国国内の問題であるが日本にとっても影響があり、無視できない問題である。