6422.2024年12月12日(木) 教育無償化どころか、授業料値上げ?

 10月の総選挙で各政党が訴えた公約の中に「教育無償化」や、「負担軽減」がある。耳障りの好いアピールだが、現実にはその逆で国立大学の授業料が値上げされたり、値上げが検討されている状態である。例えば、東大は来年度から授業料を年約11万円値上げして、64万2,960円にすることを決定した。8%強の値上げで他にこれほど高く値上げされた物価はあまり聞かない。他の国立大学も早晩東大に続いて値上げを決めることだろう。

 そもそも総選挙で各党が、「教育無償化」を訴えていたが、これを幼児教育と小中高の教育費と受け止めていたのではないかと疑念を覚えるほどである。与野党ともにこれほど見事に公約を袖に振ることはない筈である。

 これではアルバイトに励んでいる大学生にとっては、今社会的にも話題となっている「103万円の壁」が、立ちはだかることになる。親から支出してもらう授業料の負担を少しでも軽くしたいと考え、「103万円の壁」を頭に入れながらアルバイトを手加減している。この値上げにより、親の負担も大きくなり家計にも響いてくる。

 私が私立大学を巣立ったのは、1963年で当時の年間授業料は、僅か?3万円だった。それでも当時の保護者にとってみれば、それなりに大きな負担だったと思うが、それが、2021年の私立大学授業料は文系で81万5千円前後である。一概に物価上昇の比較難しいので何とも言えないが、今の国公私立の大学授業料では、保護者が子息を大学に通わせるには、相当家計を切り詰めないとやっていけないのではないかと思う。

 このように政党の公約が、正反対となったにも拘らず、あまり大きな問題とはなっていないのは、政府予算における教育費の削減にあると思う。現在の国の教育予算(文教費)は、2020年代初に比べ大幅に減少している。当時は年間6兆円近かった文教費が、今では4兆6百億円しか支出されていない。すべての支出項目が増額される中で、文教費だけが減額された最大の原因は、近年増え続ける防衛費の増大ある。国立大学授業料の値上げは百億円程度の予算増額で抑えることが出来るが、そうはせずに予算に余裕がないの一言で値上げを止めない。ところが防衛費に関しては、うなぎ上りに予算を増額して、1990年度には4.64兆円だった防衛費が、あれよあれよという間に増え続け、今年度は文教予算の2倍近い7.95兆円にまでなった。この現状を見ていると、アメリカが1か月後にはトランプ氏が大統領に就任するに伴い、日本政府トランプ氏に好い顔を見せるためにアメリカから銃兵器やミサイル関連施設などの購入を大幅に増やすであろうことから察すると、防衛予算は今後年々増え続けることだろう。

 大学生のための授業料に重きを置くか、国土防衛のためと称して防衛費を底なし沼のように増やし続けていくのか、今後の予算編成上の試金石となることだろう。

2024年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com