昨日電撃的に伝えられたシリアの反体制派による首都ダマスカス制圧により、アサド・シリア大統領の行方が分からず、いずこかの国へ亡命したのではないかとの噂が交錯していた。
そして今朝ロシアの国営メディアが、アサド大統領は人道的な理由で亡命を認められ、家族とともにモスクワに到着したと伝えた。常にシリアの背後には、ロシアが控えていたが、実際に自身が失脚するとなると寂しい晩年を過ごす国が、そのロシアになったというのも運命であろう。ただ、今までのように国家権力を縦横無尽に独裁的に振るっていたアサド大統領にとっては、今ではその力もない。ロシアがこんな元大統領をどれほど支援してくれるだろうか。あんまり安楽な生活を送れることはないだろう。
アサド大統領が国を治めるようになったのは、元大統領だった父親の世襲である。一時的にブランクはあったが、アサド家が国家を牛耳っていたのは、その父親以来、実に半世紀以上に上るというから驚くばかりである。
今まで訪れてみたいと思いながらシリアは訪れる機会がなかったが、古代文明都市であり今思っても何とか訪れてみたかった魅力的な都市である。だが、国内で内戦や反政府派らの活動によって古代都市、特にアレッポなどはかなり荒れているようだ。
20年以上に亘り独裁的に国家を支配していたアサド大統領が残した負の遺産は大きく、支配者が代わっても早急に爪痕を消すことは出来まい。特に、反体制派と言っても一様ではない多くの反政府集団があり、独裁政権が倒れた後の新政権がどういう布陣で臨むのか、それによってはまた新たな国内の対立と抗争を招きかねない。
また、一方で政治混乱を引き起こしている韓国の政情も酷く混沌としている。現状は騒ぎの主である尹錫悦大統領の責任を追及して、検察は大統領を内乱罪と職権乱用の容疑で捜査している。与党「国民の力」の韓東勲代表は、尹大統領の権限行使を制約することを主張し、早期退陣を迫ると公約した。一方の野党「共に民主党」李在明代表は、憲政秩序を破壊する違憲行為として、あくまで大統領の弾劾訴追案を再び国会に上程するという。与野党間は調整がつかず、対立する一方で、当分の間政治の混乱は収まる見通しが立たない。この間国の政治が停止するわけであり、世界の流れに置いていかれることになり、いつまでもこのままにするわけには行くまい。来る14日に再び弾劾訴追案が上程されるが、これがまた不成立になるとしたら、このスピード化の時代に韓国は世界の動きから大きく後れを取ることになる。話し合いの空気が、どうして持ち上がってこないのだろうか。
韓国よ! しっかりしないと世界から完全に取り残されるぞ!