6410.2024年11月30日(土) 「アマゾン」発展の陰でカスハラ

 最近メディアで急激に話題になっている言葉がある。「ブラック・フライデー」である。言うまでもなく、これもアメリカから輸入された言葉である。アメリカではハロウィーンとクリスマスの間にある11月最後の木曜日を感謝祭りとしているが、その翌日の金曜日を「ブラック・フライデー」と呼んでいる。つまり昨日がその当日である。一般の知名度としてはそれほどではなく、大恐慌を来たした「ブラック・マンデー」に比べれば、ほとんど知られていない。いずれにしても「ブラック」という表現が良いイメージを与えないので、日本ではほとんど使用されなかった。それが、近年アメリカのみならずヨーロッパでも認知度が上がるにつれ、最近は日本でも商魂たくましいビジネス界が放っておかず、昨日辺りから「ブラック・フライデー」の恩恵を受けようと駅前商店街などでは歳末景気へ向けて賑やかな営業活動を始めたようだ。

 その「ブラック・フライデー」を上手に利用しているネット通販にアマゾンがある。「ブラック・フライデー」の前に先行セールとして、ちゃっかり商売しているのである。ところが、そのネット通販大手のアマゾンに、「ブラック・フライデー」とは別件で、去る26日に公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで、立ち入り検査を行ったというから穏やかではない。発展著しいと感じていたアマゾンではあるが、反面かなり強引な商法で関係者を泣かせているとの噂はかねがね耳に入っていた。アマゾンのネットを見ると、「カートボックス」と称する優先販売商品を目につくように掲示している。ここにアマゾンの「カートボックス」の選定条件として「ライバル社と比べて競争力のある価格設定」とか、「アマゾンの物流・配送サービスの利用」と言い、その裏では出品者に対して無理難題を押し付けている。そのお陰で今ではアマゾンのネット通販市場シェアは28.2%で業界トップに君臨している 公取が懸念しているのは、出品者が「設定価格を下げないとカートボックスから外す」と圧力をかけられアマゾンから彼らの要望を押し付けられている点である。アマゾンが公取の立ち入り検査を受けたのは、これで3度目である。アマゾンに次ぐネット通販大手の「楽天」もやはり4年前に立ち入り検査を受けている。特に悪質なのは、「一定額以上を購入した利用者の送料を無料とするプランが出品者に負担を強いた疑い」とされたことである。

 近年書店、出版社が販売低迷で経営が行き詰まるケースをよく聞くが、そのひとつに読者がアマゾン・ネット通販から、書籍を購入した際の郵送料の免除が、その負担を出版社に振り替えられているのではないかという懸念である。アマゾンの書籍販売が増えるに従い、そのしわ寄せが出版社の送料負担となり、出版社の経営を苦しめている。指定価格まで値下げを要求された物品メーカーは、「アマゾンににらまれたら商売が出来なくなる」と無理やり値下げを強要され、販売価格を引き下げざるを得なかったという。今流行りのカスハラのような理不尽な値下げ要求が明かされるにつれて、最近になって欧米では独占が進む巨大プラットフォーマーへの監視や、規制を求める動きが現れている。この機会に、そろそろ日本でも弱者の声を受け入れて、カスハラを監視しつつゴリ押しに対して警告することも検討すべき時になったのではないかと思う。

2024年11月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com