このところ中国の経済停滞が各方面から伝わって来る。その端緒となったのは、不動産不況である。3年前に金融当局が資金調達の規制を始めたことにより、民営不動産開発事業者の資金繰りが悪化し、売り上げが減少した。都市の中心部に建設途中で工事を中止したビルがいくつもある。今まで不動産業は中国経済のけん引役として、住宅の売れ行きや開発の進行状況が家具や家電などの分野にまで影響を与えて来た。それが経済成長後に低迷期に入ってしまった。
これが、上場企業の中でも製造業などにも大きく影響し、景気は減速している。因みに今年度上期に最終減益・赤字となった企業の割合は5割を超え、増益企業を上回った。
企業の多くが給料未払い、年金停止状態となり、社会主義、共産主義も行き詰まった感があるが、中国経済に詳しい東京財団の柯隆氏は、テレビで質問に応えて中国は民主化、万民平等、財産平等を謳う社会主義でも、共産主義でもないと言い切っていた。昨年日本共産党もあまりの中国共産党による1党独裁の中国習近平政権に愛想を尽かして、中国共産党と長年の縁を切ったほどである。
同時期の日本経済は、全業種の6割の企業の純利益が前年同期より増加した。特に、コロナ禍によってどん底にまで落ち込んだ観光業の回復が目覚ましく、それもインバウンド業界の発展が大きく寄与している。今年10月の訪日外国人数は、単月で過去最多の3千3百万人を超えた。前年同期比で、31.6%増であり、国家の懐も膨らむ。
実はプライバシーに関わることにもなるが、このコロナ期間中に政府の観光支援策(GO TO トラベル)を悪用して大手旅行社HISが、国から不正に受け取った金額が7億円近いものだったという悪質な事件が、2021年12月25日付朝日紙にすっぱ抜かれて、その飛び火が私にも降りかかった。それを取り上げた私の拙いブログ21年12月29日付で「『GO TO トラベル』で旅行会社が不正受給」と書いた。HISは、かつて私がツアー企画で度々利用したヨーロッパの旅行手配会社を傘下に置いている。その子会社がその不正事件に大分絡んでいたようだ。いずれにせよ、許されない悪質な行為であり、ブログ上で厳しく非難した。ところが、偶々それを読んだHISと関連会社にはブログの内容が不本意だったらしく、彼らが私のブログの起ち上げに協力してくれたITコンサルタントへ、有り得ない事実を書いたとして名誉を棄損されたと抗議をIT社を通して、今年10月に伝えて来た。盗人猛々しいとはこのような行為を言うのだろう。当時の新聞記事のコピーをIT社へ送り、悪質な事実について新聞記事を裏打ちするように書いただけで名誉棄損に当たることは一切ないと突っぱねた。朝日紙の記事には、HISの澤田秀雄社長が事実を認め、ガバナンスを見直すと反省の弁まで述べている。その後IT社からは何の連絡もなく、先日電話でその後の経緯を尋ねてみたところ、一応弁護士を通して交渉しているが、相手からは何とも言ってきていないということだった。HIS関係社も、一旦は文句を言ってみたが万策尽きて罪を素直に認めたのか、勝ち目がないと思い諦めたのだろう。
話が大分横道に逸れたが、観光業は世界的に再び登り調子にあるが、観光業者自体に資産があるわけでもないので、景気に左右されることが多い。コロナ禍が観光業界に厳しい試練を与えたが、今や観光業界には台風一過のような上昇ムードがある。年々発展著しいインバウンド業界は、数ある外貨獲得産業の中でも発展が目覚ましい。今後も発展の可能性と余地は充分あるので、些細な景気の変動に動揺することなく引き続き、日本経済の基盤作りに貢献して欲しいと願っている。