世界各地で大成り小なり戦争やもめごとが絶えないが、今年の猛暑に代表されるような地球沸騰化現象を少しでも抑制しようとの意図の下に、アゼルバイジャンの首都バクーで開かれていた気候変動枠組条約国会議(COP29)が、2日間延長した後、昨日漸く成果文書を採択して閉会となった。
但し、途上国への資金援助を盛られた成果文書は、途上国側からは受け入れられないと採択に反対の声が上がる異例の閉幕となった。それによると先進国が主導して2035年までに少なくとも年間3千億㌦(約46兆円余)を途上国に対して支援するというものである。それは最低額であり、更に希望的支援として、出来れば35年まで最低年間1兆3千億円(約201兆円)に拡大させるよう呼びかけるとしている。ところが、インドを主に目標額が少ないと先進国側と対立したまま閉会となってしまった。インド代表は「成果文書は気候変動の重大さに応えていない」と採択には反対と不満を表し、ナイジェリア代表も合意された目標額は冗談のような金額だとして不満を述べた。中には不満を感じた途上国の代表らが議論を打ち切り、成果文書を採択したとは言え退室するなど暗礁に乗り上げたような印象を与えたようだ。
元々先進国側がこれまでの3倍の支援を打ち出したのに対して、途上国側は納得していない。途上国にかつてなかったような気候変動や自然災害をもたらしたのは、近年地球温暖化が話題となり、その原因が主に先進国が二酸化炭素ガスを際限なく排出するようになってからのことである。途上国にしてみれば、地球汚染、沸騰化、自然災害発生等はすべて先進国の責任であり、その責任を部分的ではなく全面的に果たすべきであると主張しているわけである。
一方先進国側にもその責任を果たす気持ちはもちろんある。だが、所詮現状で地球温暖化・沸騰化の傾向は免れない。排気ガスを減らすよう話し合っても自国の利を主張する国の我が儘で排出ガス協定が、前向きな形で結ばれないからである。これまでCOPが開かれる度ごとに完全とは言えない協定が締結されたが、それさえ自国の立場から守ろうとしない国がある。その最たる国家が、アメリカであり、中国である。世界経済を主導する両国が、二酸化炭素ガス排出量の世界1、2位を争っている現状において、協定を守ろうとしない。とりわけ身勝手なのは、アメリカである。世界で中国に次ぎ2番目のガス排出国でありながら、1997年京都で開かれたCOP3で、2008~12年に5.2%のガス排出削減目標を立てたが、アメリカの離脱によって達成出来なかった。15年には21世紀後半には温室効果ガス排出量の実質ゼロを目標としたパリ協定を結んだ。だが、アメリカはトランプ大統領が、19年に協定から離脱をした。その後バイデン大統領となって21年2月パリ協定に復帰した。
問題は、前回大統領在任時にパリ協定から離脱したトランプ次期大統領が、このパリ協定に留まっているだろうか。事実大統領就任前にも拘わらず、「石油を掘れ!掘って掘って掘りまくれ!」とアジッている有様である。トランプ氏が大統領に復帰するのを世界中が注視しながらも、トランプ氏とともに地球が焼け焦がれ壊滅するのを恐れながら心配している。