このところ天候が安定しない。元旦にM7.5の能登半島地震があり、その後9月同半島一帯に豪雨が襲い、今年は自然災害大国日本を強く印象づける1年となってしまった。今も沖縄近海に4つもの台風22号~25号が発生し、日本へ襲来しそうな気配である。
言うまでもなく、これは日本のみならず世界的な地球温暖化のせいであるが、特に今年は例年以上に世界各地で自然災害に襲われている。世界気象機関(WMO)によれば、今年9月までの平均気温は、産業革命前の推定平均気温と比べて上昇幅が1.54℃を超え、今年の平均気温は観測史上最も高くなると分析されている。気象庁は、100年後の日本の年平均気温は現在より更に2~3℃上昇し、北海道の一部では4℃も上昇すると予測している。
気温の上昇は、世界各地で大雨、洪水、干ばつ、熱波、高潮、山火事などにより地球規模の異常な気象をもたらし、これまで砂漠地帯が多いイエメンですら、記録的な大雨が観測され、広範囲に亘る洪水が発生した。また、4月16日の1日だけでアラブ首長国連邦の一部では、年間平均降水量の約2倍の大雨を観測し、大規模な洪水が発生した。
気温の上昇は、5月にインドのニューデリーで49.9℃を記録し、6月にはサウジアラビアの複数地域で50℃を超えた。熱波と干ばつは、森林火災の発生を促し、米テキサス州では、スペインのマヨルカ島の面積に匹敵する40万㌶を、カナダでは5月に季節外れの大規模な森林火災が発生した。今年アリゾナ州フェニックスでは今夏連続31日間43℃を超え、フロリダ州海岸では巨大なハリケーンが上陸した。それでもトランプ氏は、排出ガス規制にブレーキをかけるだろう。
気温の上昇は、高い海水温度とラニーニャ現象により、ハリケーンが強まる可能性があり、北大西洋では海面水温の上昇によりアメリカ東部海岸には大規模なハリケーンが襲った。ヨーロッパでも異常気象による集中豪雨が続き、多くの河川が氾濫した。特にポーランド、オーストリア、チェコ、ルーマニアでは増水した川が溢れ、過去20年間で最悪の洪水となった。アジアでもインド、ミヤンマー、ベトナムなどで低気圧により大河が濁流となり、多くの人の生命が奪われた。インドでは40℃越えの日が続き、熱中症などで100人以上が亡くなった。ミヤンマーでも226人、ベトナムでは254人が亡くなった。
これまで度々地球温暖化を抑制するための国際会議が開かれてきたが、残念ながら会議で取り決められた最低限の約束が守られていない。地球温暖化に最も貢献?している温室効果ガスの排出削減を進めなければいけないが、気候変動枠組条約会議(COP)で折角決めたルールをぶち壊すような行動が、大国の間で行われたことが大きな壁となっている。そのCOPパリ条約を離脱したアメリカは、一度復帰したが、再びトランプ氏が大統領に復帰すれば、またもやCOPからの離脱を宣言し、世界中が自然災害から逃れることが出来ないばかりか、今後も更に気温上昇自然災害が訪れるだろう。どうして人間は、予測できる天罰を退治もせず招こうとするのか、愚かさも止めようがないのだろうか。