来る27日の総選挙投開票に向けて各候補者が激しく争っているが、7月に東京都知事選で3選された小池百合子知事が、何と一昨日都内の駅前で公明党前職の候補者のための街頭演説を行った。公明党候補者のために応援演説を行ったのは、去る15日に石井啓一代表の地元にかけつけて石井代表を応援して以来2度目である。一方、知事が特別顧問を務めている「都民ファーストの会」の都議会議員らは、国民民主党候補者を応援している有様である。党内事情があるのか、或いは知事の個人的事情なのか、何かずれているような印象を受ける。都知事選後には、カイロ大学卒業という学歴詐称問題で訴えると声高に言っていた元側近の声は聞かれなくなってしまった。今もネット上には、小池知事がカイロ大学を卒業し、一部には首席とまで書かれているが、アラビア語の実力はカイロ大卆の同級生が、評価していなかったにも拘わらず、身勝手な自己PRを削除しようともしない。世間で疑われても自分だけはカイロ大卒業に拘っている。勝てば官軍だろうか、都知事選前には派手な行動は控えていた小池知事も、今では堂々と選挙応援に出かけている。それにしても政治家の「ウソ八百」は、留まるところを知らない。
その小池知事のおひざ元で、明治神宮外苑地区再開発が環境破壊として問題視されて久しい。昨日東京都環境影響評価審議会との会合が開かれ、事業者の代表である三井不動産は、樹木伐採の見直し案を報告し、審議会側から受け入れられた。この結果事業者は、今月中にも計画に着手すると伝えた。
このプロジェクトについては、地域住民や環境学者らから緑が減少することを懸念して、当初から強い反対の声が上がっていた。そして国連の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)も、事業者が公表した見直し案では樹木保全への対策が不十分であると小池知事宛てに要望書を提出していた。それでも結局は、ゴーサインが出たことになる。
懸念されているのは、緑地に空き地スペースを作り、そこへ高層ビル2棟を建設することである。どうしてこの好環境の土地の風紀を乱すような高層ビルを建てる必要があるのか。環境、景観問題などから計画見直しというより、中止を求められているが、東京都にはその気はないようだ。小池知事の回答も「事業者には理解と共感が得られるよう対応して欲しい」とか、「法的な手続きに従って進めてきていると聞いている」など、まるで他人事なのである。
一番気がかりなのは、このプロジェクトによって現在の神宮球場と秩父宮ラグビー場の立地を交換するという無駄な試みである。神宮の森の樹木を伐採し緑地を減らして高層ビルを建てるという、事業者側の馬鹿げた計画に安易に踊らされただけではないのだろうか。六大学野球や、大学ラグビーの応援に度々出かけた2つの伝統あるスタジアムをわざわざ高額な費用を注ぎ込んで取り換えるという発想にはとても付いて行けない。小池知事はいつもふらふらしているようだが、都民の住環境をぶち壊すようなプロジェクトには、断固反対を唱えるべきである。ひょっとすると三井不動産側から小池知事側へ、それなりの「裏金」が届けられたのではないかと勘繰ってしまう。