相変わらずパレスチナ・ガザ地区へ激しい攻撃を続けているイスラエルは、更に周辺国レバノンへ空爆を開始した。このエスカレーションにより、イスラエルとレバノン国境の監視を担う国連レバノン暫定駐留軍の平和維持要員が、イスラエル軍の攻撃を受けて負傷したことに国際社会から強い非難の声が上がっている。特にパレスチナで犠牲者が増えているが、攻め続けているイスラエル軍にも多くの戦死者が出ており、今年6月時点で706人の兵士が死亡、1万7千人が負傷して、約36万人の予備役が召集された。戦闘兵士にもかなりの不足が生じている。このまま戦争が続けば、現在多方面の軍事作戦を続けるイスラエル軍の兵士は枯渇状態になってしまう。そのような時に、イスラエル最高裁が政府に対し、兵役が免除されてきたユダヤ教超正統派と呼ばれる集団も徴兵するよう命じる判決を下した。これまで兵役を免除されてきたユダヤ教超正統派にとっては寝耳に水である。国民皆兵制度のイスラエルでは、男女ともに18歳で徴兵され、男性は32カ月、女性は24カ月間兵役に就く。ところが、聖書の教えを厳格に守る超正統派だけは、1948年建国以来事実上兵役を免除されてきた。
これまでイスラエル国民は皆ユダヤ教徒であると安易に考えていたが、このような特殊な教徒がいるとは寡聞にして知らなかった。彼らの衣装は慎み深く、中世から変わっていない。男性は黒い帽子(キッパ、その他)、黒いコート、黒いズボンで統一感があり、帽子の種類や傾け方、もみあげの長さ、服の着こなしによってどのユダヤ教指導者(ラビ)についているかが分かるという。私も東エルサレムの「嘆きの壁」を訪れた時、キッパを被るよう言われた。女性は詰まった襟にロングスカートが基本で、既婚者は髪をすべて剃ってスカーフで覆ったり、ウィッグをつけるという。このユダヤ教超正統派の人びとは一生をかけてユダヤ教を学び、子どものころから男女別の神学校に通い、男性は卒業後も仕事をせず宗教を学んでいる人が多い。それ故貧困者も多く、政府から生活のための補助金を支給されているほどである。
あまり知られていないようだが、超正統派の人びとは、1948年の建国時には、人口はイスラエル全体の約1%程度だったが、2023年には、全人口(約970万人)の約14%を占めるまでに増え、65年には640万人を超え、人口の30%超になると推計されている。その原因として、超正統派教徒の女性は、出生率が高く、最近でも1人当たり生涯に産む子どもの数は6.4人で、イスラエル全体の出生率3人の2倍以上である。ユダヤ教超正統派教徒たちは、自分たちは宗教を学ぶことで国を守っているので、軍隊に行くべきではないと主張しているが、他方一般の大学生らは、超正統派は我々の税金で生活しており、軍に入って貢献すべきであると、意見は対立している。神を信じる超正統派教徒の徴兵拒否と兵士不足に遭遇しているネタニヤフ首相にとっても頭の痛い問題である。
さて、昨日、今日と自由が丘では「自由の女神祭り」が行われている。先日もテレビで昨年のお祭りを放映していた。しばらく見ていないので、ウォーキングを兼ねて出かけてみた。東横線自由が丘駅前にある「自由の女神像」広場周辺への車の乗り入れが止められているために、道路は人と簡易店舗が溢れ、所によっては押し合いへし合い状態だった。広場の特設舞台では、米横須賀海軍のブラスバンドがジャズを演奏していた。中々賑やかで大勢の観衆が熱心に聞いていた。地元の商店会が、主催したものだが、これだけ派手にやれば宣伝価値は十分だろう。2年後にはここに大きな総合ビルが建設されるので、一層賑わいを見せることだろう。楽しみにしている。