6347.2024年9月28日(土) 石破自民党新総裁の腕の見せどころ

 昨日行われた自民党総裁選の経過と結果について、昨日の夕刊から今日の朝刊、そしてテレビ報道なども種々話題持ち切りである。29歳で国会議員となり、今日まで38年間も与野党国会議員として苦難と試練に厳しい対応をしてきた。二世議員ではあるが、甘っちょろい二世とは異なり、かなり拘りの強い自己主張と行動力に個性が現れる。一時自民党を離れたが、今も自民党にいながら自民党を批判し、それが故に党内野党との異名をとった異色の国会議員でもある。昨日の決選投票では党員票で高市氏を上回ったが、僅かの差であり、党内の基盤は必ずしも盤石とは言えない。それでも戦争へ向け一直線の極右の高市氏が総裁に選ばれなくてホッとしている。

 その石破氏は、次の臨時国会で第102代首相に選出される予定である。首相としてやるべきことは多い。しかも難題ばかりで前途多難である。その中で早くも石破効果が表れた事象がある。

 昨日午後の東京外為市場で、高市氏が第1回目の投票で1位通過した時は、市場は円安の1㌦=146円台だった。それが決選投票で逆転して石破氏が勝ったことが伝わると外為市場は反応し、円安から円高が急騰して1㌦=142円台にまで円が上がった。そこには、高市氏がアベノミクス継承をアピールし、金融緩和や大規模な財政出動が進むとの見方があり、日銀による利上げの可能性が遠のき、円を売る動きが強まったのである。石破氏の勝利でそれまでの円安の流れが一転してアッという間に円が急騰した。円高株安の兆候が強まった。外為市場は嫌高市なのである。経団連十倉会長が、石破氏のように幅広い政策に精通した豊富な経験が、変革を進めるのにはふさわしいリーダーだと語ったように、経済界ではかなり期待されているようだ。

 今後政策において石破色を打ち出せるかどうかは、党内人事に左右されるケースが多い。石破氏は総裁選直後に、争った高市氏ら8氏を要職で起用すると漏らした。果たしてこれで手足を縛られたようにならなければ好いがなぁと懸念している。

 前途に横たわる難問は山ほどある。先ずは、裏金問題のけじめをつけて欲しいというのが国民の一貫した気持ちだと思う。加えて安倍時代の残り火である旧統一教会との不明瞭な関係を清算すべきである。つい最近も2013年の参院選公示直前に当時の安倍首相ら政府要人が、旧統一教会会長ら幹部と会談して自民党候補者への選挙支援を依頼したと思われるような写真や資料が公にされたばかりである。

 外交面では、喫緊の課題は日米地位協定の改定へ向けた積極的な仕掛けを行うことであろう。石破氏は会見で協定改定への意欲を示したが、ハードルは頗る高い。最近ことあるごとに発言していたのは、アメリカ国内に自衛隊の訓練基地を設けることである。その基地協定では、自衛隊を日米地位協定と同じアメリカの水準にすることで日米平等を確保できると主張しているが、アメリカ側としてはこれまで再三に亘る協定改定の日本側の要望を締結以来64年間も改訂したことがなく、果たしてアメリカが日本の要求を素直に受け入れるかどうか難しい問題である。

 石破政権にとっては、同盟国である駐日米軍の各種の取り決めが目障りである。新首相は前途に見通しをつけ、確信を抱いて自己の考えを実行に移して行くことが出来るだろうか。

2024年9月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com