7月末にパリで開催されたオリンピックに続いて、パラリンピックが開かれていたが、昨日12日間の日程を終え閉会式が行われた。小雨降る中で閉会式はパリらしく派手なショー的要素を組み込んで華やかに大会の幕を閉じた。
日本からは過去最多の175人の選手が参加して、各競技で活躍し金メダル14個を含む41個のメダルを獲得した。それでも日本の金獲得は、オリンピックの3位に比べて10位だった。
いみじくも「近代オリンピックの父」クーベルタン男爵が、「オリンピックは参加することに意義がある」と語ったように、メダルの獲得数が国家の栄誉とか権威を示すわけではないが、ひとつの傾向として国としての勢いを感じることはある。それは、パリ・オリンピック及びパラリンピックにも言えることである。
例えば、パリ・オリンピックのメダルは、アメリカが1位、中国が2位となり、幸いにも日本は3位だった。そのアメリカと中国の金メダル獲得数はまったく同じ40個で、銀と銅メダルを合わせた全メダル数でアメリカの126個に対して、中国は91個だったので中国は総合で後塵を拝した。
ところが、パラリンピックのメダル獲得数となると、勢力図が大きく変わった。金メダル獲得数は、1位中国の94個はダントツで、2位イギリス49個、3位アメリカ36個で、3つのメダルの獲得数でもこの順位は変わらない。この結果から中国がいかに障碍者スポーツの育成に努力し、パラリンピックで自国選手の強化、活躍に力を注いでいたかが想像出来る。また、オリンピックでは、イギリスは金14個の7位で、3位の日本の金20個より下位にいた。しかし、パラリンピックでは金メダル及び全メダル獲得数で、アメリカを抜いて中国に次ぎ2位となった。ここにもそれなりの努力があったことと思う。それに比べると、アメリカの金獲得数は随分少なかったように思う。途上国ブラジルの5位25個、戦時下のウクライナの7位22個にもうっかりしていると追い抜かれかねない。
それにしても中国の圧倒的な金メダル獲得数には感心している。とかく国際法を無視して自国領土の拡大にまい進している力による政治的姿勢から推して、地味なスポーツにこれほど力を入れているとは想像も出来ないことである。日本は過去3番目のメダル獲得を誇ったが、それでも金14個で全体として41個のメダル獲得で10位だった。しかし、テレビなどでもこれまでのパラリンピックに引き比べて、かなり放映時間を割いていたように思う。4年後の次回ロサンゼルス大会では、もっと人々の関心が高まり、メダル獲得模様も変わるだろう。別の意味で興味が尽きない。
さて、このところ連日のように報じられている斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ問題で3年前の知事選に推薦母体となった日本維新の会が、知事に辞職と出直し選挙の実施を求めた。日本維新の会は、最近各地の補欠選で立て続けて推薦候補が敗れ退潮気味のところへ、4月に地元の大阪府大東市長選でも敗れている。これ以上味噌をつけたくなかった。
流石に頑なな維新幹部も、斎藤知事の百条委員会や、証人喚問の言い分と対応が、県議会や県民が充分納得出来るものとは言い難いとして、昨日辞職申し入れ書を手渡した。だが、頑固一徹の知事はこれを受け入れる気持ちはなく、引き続き知事職に留まる意向である。
ところで、天下り知事とも言える斎藤知事のパワハラで隠れているが、元総務省をはじめキャリア官僚OBの知事は、47都道府県の内半数以上の25人もいる。中でも総務省出身知事は、前記斎藤知事、後記の木村知事を含めて11人もいる。学業は優秀だっただろうが、職場ではエリートコースを歩みチヤホヤされて現場を知らず、若く世間知らずの知事が多い。その中でも最近斎藤知事のスキャンダルの影になって目立たないが、顰蹙を買っている県知事がいる。総務省官僚から県副知事に天下りし、今年4月の知事選で自民、公明党の推薦により初当選したばかりの木村敬知事である。木村知事は、今後AIが事務職業務を代行する中で一般事務は要らないし、高校の普通科なんて要らないと県教育長に話したというから、世間知らずも極まれりである。世襲政治家と同じように苦労知らず、世間知らずの高級官僚から天下りする政治家の誕生にも、今後歯止めを掛けることも考えるべきだと思う。