この数日台風10号の襲来について、テレビ報道が朝から晩まで行われているが、昨日は台風が奄美諸島へ、そして今日は九州南部の鹿児島と宮崎へ上陸した。台風は、そのまま九州を通り抜けてから進路を東方に向け、日本列島を襲う気配である。台風10号がいつもの台風と大分異なるのは、かなり勢力は強いが、スピードが遅いことである。そのため台風に襲われた地域では、降水量が想定外の異常な雨量になっている。最大風速が60mの強風であるが、大体中心の気圧が925hPaなんて考えてもみなかった。低くても精々950hPa程度ぐらいにしか思っていなかった。交通機関への影響も大きく、航空機をはじめ、九州新幹線と山陽新幹線は今日はほぼ運転休止となる。東海道新幹線も明日以降の運行予定に大分変更があるようだ。土砂崩壊も各地で発生している。これから本州を縦断して明後日ごろには関東地方にも押し寄せて来るようだが、災害を与えることなく早く立ち去って欲しい。
日本中が台風10号に振り回されている今日(現地28日)未明にパリ・パラリンピックが開幕式を迎えた。競技は今日から閉会式の9月8日まで行われる。今回は過去最多の168の国々・地域から約4,400人の選手が出場し、日本からも海外で開催される大会で過去最多の175人の選手が出場する。会場はあのコンコルド広場からシャンゼリゼ通りにかけて使用され、画像を観ると遥か向こう側に凱旋門が見える。聖火ランナーのひとりとしてジャッキー・チェンも走った。各国選手団の入場ではそれぞれその国のミュージックに乗って選手団が入ってきたが、フランス選手団は、シャンソンの♪オー・シャンゼリゼ♪に合わせて入場してきた。開会宣言は、マクロン大統領が行い、12日間の幕が切って落とされた。
オリンピックで賛否があった開会式の演出については、エスタンゲ組織委員長が、オリンピック開会式を意識して冒頭「安心してください。今日はバスチーユ襲撃もギロチンもありません」と皮肉っぽい挨拶をしたが、また物議を醸すのではないだろうか。その他にいくつものグランドピアノの上を足で蹴ったり、過激な乱暴に鍵盤を叩いたパフォーマンスに、楽器本来の使い方をして欲しいとの苦情も寄せられたという。
オリンピックで問題になったセーヌ川で行われたトライアスロンで、水質汚染のために競技後に体調を悪化させた選手が出場者の10%もいた。パラでも敢えて競技を実施するようだが、「NATIONAL GEOGRAPHIC」誌8月号の「特集:セーヌ川 輝きを再び」の再建中のシテ島ノートルダム寺院上空から撮った鳥瞰写真を見ると、川の水がはっきり濁って写っているのが分かる。いくらフランス自慢の川であるにせよ、こんな汚れた川で身障者のための世界大会を行う意味はあるのか。主催者の意図が理解出来ない。
どうもフランス人というのは、自分たちの文化、芸術的センスを自慢しひけらかし、押し付けたいのか、やや奇を衒う傾向があるが、このパラでも世界中の人びとがテレビを通して観ていることを意識して、常識を遥かに超えるフランス流パフォーマンスを披露したようだ。
自分たちはこれをやりたいんだという、良い意味でクセが強く、世間の批判に対して恐れずやりたいことを示していると理解あるコメントをしたタレントもいる。また、社会学者の古市憲壽氏も「ハンディキャップを負ったキャラクターを使ったり、とがってはいるが、コンセプトがしっかりしている」と好意的な感想を語っている。今日から12日間オリンピックとは、大分見方は異なるだろうが、冷静に楽しく観てみたいと思っている。