ウクライナ戦争もロシア軍の侵攻以来2年半を経過した。両国の国境を境に激戦が続けられ、ロシア国内でも思いがけずウクライナ軍が侵攻してきたクルスク州では、住民も不安に駆られ慌て出している。現状ではウクライナのゼレンスキー大統領の強気の発言を聞いている限り、停戦の可能性は極めて薄く、ウクライナ国民の苦悩と心痛は収まりそうもない。
一方、無防備のパレスチナ・ガザ地区住民へのイスラエル空軍の攻撃については、死者がすでに4万人を超え、難民が益々増えている。周辺の国々が仲介の労を取りながら、何とか停戦させようといろいろ交渉に当たっているが、これまでのところ実現していない。そこへ昨25日アメリカ、エジプト、カタールが仲介した停戦協議について、イスラム組織ハマスは、イスラエルの新たな条件を拒否すると表明した。同じころ先月レバノンのシーア派組織ヒズボラの司令官が、イスラエル軍の攻撃によって殺害されたことへの報復として、ヒズボラがイスラエルに対して大規模な攻撃を行った。だが、これにイスラエル軍は即座に反撃し、ヒズボラ戦闘員3人が死亡した。ヒズボラのナスララ最高指導者は、ガザ地区の戦闘が続く限りイスラエルに対する攻撃を継続すると強調した。これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相も対抗措置をとる構えを崩しておらず、これからも中東地域の不安定化は現状以上に高まると懸念されている。現状から察すると、イスラエルはやられたらやり返すと度々発言しており、停戦交渉がまとまらない限り、いつまでも反撃を繰り返すことだろう。
問題はまだ残っている。先月31日、ハマスのハニヤ最高幹部がイラン大統領の葬儀に出席した折、イスラエル空軍機により狙撃され死亡したことに対して、イランは直ちに反撃すると怒りを露わにしたが、停戦になれば反撃しないと公言していた。しかし、昨日停戦交渉が不調に終わった。イランは、爆弾を抱えてイスラエルの様子を探っているところだろう。
いずれにせよ、いま世界に戦火が燃えたぎっている地域が2か所もある。いずれにも大きな影響を与えているアメリカが、国内の大統領選で目が行き届かないようだが、大統領選後にアメリカ政府としては2つの戦争に関してどういう関わり方をして、戦争の鎮静化へ導いていくことが出来るだろうか。やはりアメリカの存在と影響力は、世界の平和と安定にとって欠かせないものとなっている。
翻って日本の「小さな戦争」自民党総裁選もメディアの注目度が高まって来た。昨日の本ブログに取り上げた自民党広報ポスター「THE MATCH」は、「時代は誰を求めるか?」というテーマで「国民のニーズと自民党の政策をマッチングさせるのは誰なのか?」と問いかけ、ポスターの他に45秒のムービーをネット上にアップしている。安倍晋三元首相を筆頭に、何人かの歴代の自民党大物首相が一言ずつ絶叫している。田中角栄「国家観を持つのは『誰』だ」、池田勇人「信じられるのは『誰』だ?経済は池田にお任せ下さい」、そして最後に「選ぶのは日本の未来」と訴えているが、所詮投票権のない国民に話しかけても自民党内のマッチングであり、国民としてはどうすることも出来ない。
最終的に候補者が決まり、改めて彼らの考えを聞いてみたいものである。