アメリカ国内では、11月の大統領選に向けて大分盛り上がっているようだ。9月に行われる民主党、共和党の大統領選候補者と副大統領候補者同士それぞれによるTV討論会を待ち焦がれている。これは私自身にも関心のあるところである。両党の全国大会会場における会場に溢れんばかりの党員たちの熱気と興奮は、普段あまり見かけるようなスケールではない。世界中が注目しているだけに、4年前には結果が判明次第、敗れたトランプ氏が選挙に不正があったと難癖をつけるようなことがあったが、それが尾を引いて不正とか、公平さに疑問が出るようなことがないよう願っている。
一方、日本でも来月自民党のトップを決める総裁選が行われ、岸田首相が出馬を辞退したことによって新しい総裁、及び首相が選出されることになった。同時に、野党第1党の立憲民主党代表選も来月行われる。いずれも今メディアで大きく報道しているが、国民にはどうしても自民党総裁選の方に関心が向き勝ちである。
「自民党総裁➡首相」という現在の政治的構図からすると、総裁選への関心が高いのは当然であるが、現在11人の議員が総裁選に出馬すると見られている。ただ、これほど数多くの出馬意向の強い議員がいると候補者1人につき20人の推薦人を確保するのは容易ではない。いつ出馬表明をするのがベストか、他の候補者の出方を見つつ出馬表明宣言をするようだ。
今回は、古い政治との決別を「刷新感」という言葉で表現しながら、これまであまり知名度がなかった49歳の小林鷹之・元経済安全保障担当大臣が、先陣を切って立候補を表明した。今までのように派閥間の調整のような裏社会と同じように決めるのとは異なり、多少斬新さが感じられる。今日までに出馬を表明したのは、この小林氏と石破茂・元幹事長だけで、他に名前の挙がっている議員は、思わせぶりな言動のままである。しかし、近日中には何人かが正式に立候補を表明することだろう。
昨日青山繁晴・衆議院議員と親しい友人から電話があり、青山議員が総裁選へ意欲満々だそうで、過去3年間党員獲得数で党内1位の自分が候補に挙げられないのはメディアがおかしいとして、メディアにクレームをつけたところ、昨日のTVに出馬の可能性について報道された。しかし、青山議員は、話題に上がっている他の11人に比べて、72歳の最年長者であるだけに、「刷新感」はどうだろうか。その刷新感が取り上げられている最中に、21日に自民党広報本部が発表した‘THE MATCH’と題する「刷新感」とは程遠い、歴代26人の首相の顔を並べた時代錯誤の自民党ポスターを公表した。モデルのトラウデン直美が早速「おじさんの詰め合わせ」とずばり言ってのけた。一部に物議を醸しているが、いい得て妙である。当然ながら、26人の中に女性はひとりもいない。登場の26人衆は、笑顔でマイクを握っているが、アウシュビッツ収容所を想い出させるような全体的に暗いイメージしか画面からは浮かんでこない。過去にとかくの話題を提供した元首相たちの顔を見ていると、これではとても刷新感とか、裏金問題との決別、派閥解消なんて無理だと思わせる愚作だと言わざるを得ない。人は変われどもいつまで経っても自民党は昔の自民党と同じである。