昨日未明靖国神社正面入り口の石柱と土台に、また何者かに塗料で落書きされていた。「靖国神社」の表札看板に、トイレットのような下卑た中国語が書かれていた。今年5月にも同じように落書きがされて書いた中国人の若者が逮捕されている。この行為は断じて許されるものではないが、中国人をそのような行為に仕向けさせたのは、終戦記念日に靖国神社へ参拝した複数の保守派国会議員にも責任がある。彼らが神社に参拝し、満州国侵略に始まる太平洋戦争に積極的に関わっていたA級戦犯に対して、国のために尊い生命を犠牲にされた故人に哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表したといつもながら戦犯を賛美する行動を取ったことである。このような行為は、日本人のみならず、海外、特に旧日本軍に侵略され、残虐な行為をされた人々が快く思う筈はない。メディアは靖国神社へ参拝する国会議員の行為だけを批判的に報道しているが、それがこのような破廉恥で礼を失した行為にもつながった議員らの行動についても、非難すべきは非難しなければいけないと思う。
若干拘り過ぎかも知れないが、昨日のサイパン玉砕のブログに続いて、反戦的な立場から私の過去の経験も併せ、つい似たり寄ったりの延長戦のような文を綴ってしまう。
戦後79年が経過して、家族を失った遺族の数は年々減り、15日に行われた「全国戦没者追悼式」に出席された遺族も、戦後生まれがほぼ半分の47.1%にまで減少してしまった。旧軍人に支給される軍人恩給の受給者の数も減少し、今年3月時点で1,093人となったが、これは前年より788人も減って急速に受給者が少なくなっている。1年で40%以上も減少したことになる。如何に旧軍人が残り少なくなっているかということが察せられる。近い将来にはいずれもゼロとなる。
もうひとつ気がかりなのは、近年戦没者の遺骨収集があまり進まないことである。これは相手国の事情もあるので、止むを得ない面もあるが、かつては収骨数が多かったのに極端に減ったとか、ゼロになった戦跡地もある。この最大の原因には、遺族の数が減少していることと、相手国の事情が影響している。
例えば、日本人戦没者収骨数はビスマルク・ソロモン諸島における収骨が一番多かった。次いで、旧ソ連領内である。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって日ロ外交関係が悪化するや、ロシア政府がロシア国内における遺骨収集を承認しなくなった。
2021年12月現在、海外における日本人戦没者概数は、約240万柱、収骨数はほぼ半数の約128万柱と言われている。未収容遺骨約112万柱のうち、最大に見積もっても収容できるのは、約59万柱で、残り23万柱は相手国の事情により収容困難と見られている。更に海没した遺骨が約30万柱あるとされ、今後収骨の可能性のある遺骨はかなり限られる。
遺骨収集をこれまで支えてきたのは、遺族の強い要望だった。前記のようにその遺族が年々減っていることからも今後の遺骨取集は難しくなるだろう。深い悲しみの中で長年家族の戦死に耐えてきた遺族の気持ちを考えると、どうやったら戦後処理に方が付くのか分からない。その中で防衛予算を倍増してはしゃいでいる国会議員の無神経な戦争志向は、とても許せるものではない。
今日テレビに出演した、自民党総裁選へ出馬を表明した小林鷹之・前経済安全保障担当相が、憲法改定で喫緊の課題は、緊急事態条項と自衛隊を明記することだといきなり言い出した。こういう戦争を知らない若い好戦的な国会議員が、得意になって自説を主張することが恐ろしい。日本は間違いなく戦争へ向かってひたひたと進んでいる。