お盆休みの最中であるが、日本列島は猛暑と豪雨に襲われる2極分化状態である。そのうえ気象庁が8日以来「巨大地震注意」により国民に地震も警戒するよう促して、日本中どこにいても気持ちが落ち着かない状態である。特に昨日は珍しく太平洋上を北上してきた台風5号が方向を変え、岩手県から奥羽山脈を横切り秋田県へ抜け出るというイレギュラーな進路を辿った。そのために観光名所である国の天然記念物の岩手県岩泉町の龍泉洞が、大雨の影響で洞窟内が冠水した。
更に、次々と台風が日本へ襲来しそうである。台風5号に続いて6号が発生したが、間もなく熱帯性低気圧へ変わった。7号は明後日には、関東や東海に上陸の恐れがあり、東京が暴風域に入る確率が30~70%だという。7号の通過後には8号が虎視眈々と日本を狙い上陸しそうである。その一方で、九州から西日本にかけて広い範囲で気温が上がり危険な暑さが予想され、熱中症の注意を呼び掛けている。このところ天気予報も慌ただしい。
さて、戦闘が長引いているロシア軍によるウクライナ侵攻が、半月ばかりの間にウクライナ軍の反転攻勢により戦況に少し変化が見えてきた。ウクライナ政府の発表によれば、ウクライナ軍は、先月末ロシアが実効支配するクリミア半島でロシア軍の「長距離宇宙追跡通信センター」を破壊した。同センターはロシア軍がミサイル誘導などに利用するロシアの衛星利用測位システム「グロナス」として重要な施設であり、アメリカのGPSに相当するものと見られている。これについてロシアは公式なコメントを述べていないが、事実とすれば、ロシアのミサイル攻撃能力や人工衛星による情報収集能力を低下させることになる。
そして昨日ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ領に最も近いロシアのクルスク州へ越境攻撃を続け、ロシアの74集落を制圧したと公表した。ウクライナ軍がロシア領へ侵攻したのは初めてである。ロシア軍は兵力を増強して撃退作戦を展開して激しい戦闘が続いている。ロシアのプーチン大統領は、2022年2月侵攻間もなくしてウクライナ軍がロシア領へ侵攻したら、核を使用することもあり得ると述べ、ウクライナや、NATO諸国に強い警戒感をもたらした。そのためウクライナ軍はロシア軍に反攻してもウクライナ領内に限定していた。それが、いまどうしてロシア領内へ侵攻することになったのか。ロシア国民の不安を駆り立て、ロシア政府を困惑させることを狙ったのだろう。ロシア国内に長引く戦争への不安や、働き手を徴兵される家族の不満などから、プーチン大統領への不満やわだかまりが高まりロシア国内に小さな反戦トラブルが起きている。ウクライナ軍はこの機に乗じて進軍したが、この越境攻撃は、ウクライナ国民を守ることが目的で、ロシア領を奪う意図はないと述べている。
ロシア軍は、現在兵員不足に陥っていてこのままでは、現状維持以上の戦闘を継続することが困難である。そのため年内に新たな動員令を発する可能性があるが、すでに2年前に30万人もの予備役を対象にした動員を発表しており、プーチン大統領としても敢えて国民の不満を無視してまでも動員令を発するかどうか、思案投げ首のようだ。プーチンの心中も揺れているようである。