6196.2024年7月30日(火) アメリカへミサイル移転は憲法違反では?

 政府が国会で野党と話し合うこともなく、また国民に説明することもなく、こっそり事を進めることがしばしばある。中でもとりわけ気になったのは、今回メディアで大きく取り上げられることもなく、防衛省が既定方針のように堂々と「PAC3」と称せられる国内配備型迎撃ミサイルを日本からアメリカへ移転する契約を結んだことである。はっきり言えば、迎撃ミサイルを日本がアメリカへ貸与するということであり、また見方を変えれば、日本がアメリカへ武器を輸出するということでもあり、明らかに憲法に違反する行為であると思う。しかも、その移転契約の裏には、アメリカがウクライナへ武器を支援したことによってアメリカの迎撃ミサイルが不足した背景があり、その内実は日本がアメリカを経由して、ウクライナ戦線へ武器を提供するということである。つまり、日本は実質的にはアメリカの名の下に、最戦線のウクライナ軍に武器・兵器を供給することになる。最近ほとんどの国会議員が戦争の実態を知らない世代となり、戦争を身体の臨場感ではなく、机上のゲーム感覚で考えていることが恐ろしい。今では憲法改正などの議論以前にすでに憲法違反を数々冒しているのだ。

 これについて木原防衛大臣は、「我が国の安全保障や、インド太平洋地域の平和と安定に寄与する防衛装備品の移転の推進に今後も取り組む」と語ったが、これを機に更に理由をこじつけてアメリカの言いなりにアメリカ軍が兵器の不足に困っている場合は、兵器類の提供を前向きに行おうとしているのだ。しかも国民に何ら説明することもなく、当然のように実行しようというのである。

 偶々昨日政府は、2025年度基礎的財政収支(プライマリーバランス)の国家、並びに地方を合わせた黒字化試算を初めて発表した。経費を国債に頼らず税収などで賄えるようにするための試算で、25年度は8千億円の黒字を見込んでいるというが、取らぬ狸の皮算用であろう。都合の好い数字を根拠に、前記のように兵器類をアメリカの兵器産業から購入し、それをアメリカの指示に従い指定の地域へ送るのだ。

 問題なのは、このまま放置すると憲法違反の陰で、政府は防衛予算を益々増額し続けて武器弾薬を買い込み、それがアメリカの戦略構想の下で、戦地へ送られることである。

 因みに過去にも都合の好い試算が行われたことがあった。2001年「骨太の方針」として打ち出されて以降、度々黒字化の目標が掲げられた。しかし、黒字化が実現したことは、バブル景気直後の1991年度のたった1度だけである。まったく以て実現性のない試算を発表したものである。それこそ憲法違反の軍事国家への進捗を隠蔽するための安易な発想に他ならない。

 さて、今日も炎暑の中をパリでは、オリンピックが渦中に入りつつある。昨日までに日本は6個の金メダルを獲得し、参加国中で最多獲得国となった。それこそ過去にはあり得なかったことである。戦後初めて参加したヘルシンキ大会では、金メダルはレスリング・バンタム級の石井庄八選手が獲得した1個だけだった。正に昔日の感である。大会前半は日本が得意な競技が集中しているせいもある。今日も比較的新しい種目である女子アスリートと男子スケートボードで金を獲得したうえに、男子フェンシング・エペで加納虹輝選手が日本フェンシング界にとって初の金、男子体操団体がライバル中国に大逆転勝ちを収めて2大会ぶりの優勝を遂げたことは、あっぱれと言うべきであろう。

2024年7月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com